この度、帝国海軍の電波兵器に関わり日頃御教示を頂いている東京大学名誉教授の霜田光一先生(文化功労者)より、以下の品々を御寄贈頂きました。日頃の御指導共々、先生のご協力に心より感謝申し上げます。御寄贈品・群馬県西牧鉱山黄鉄鉱(センチ波検波用鉱石)・製品型センチ波用鉱石検波器(七欧無線製)・受信機用磁電管M-60(内部展示用分解品)・米国Sylvania製TR放電管 御寄贈頂いたセンチ波用鉱石検波器は、当時東大理学部大学院生であった霜田光一先生が、海軍技術研究所電波研究部の菊池技師門下として、昭和19年(1944年)の初頭に開発されたものです。 本鉱石検波器が海軍電波兵器の開発に果たした役割は非常に大きく、技術研究所電波研究部はこの検波器にてセンチ波用電波探知機を開発し、また、不振を極めていた22号系センチ波電探・受信機のスーパーヘテロダイン化を達成し、本電探はようやく安定しました。 なお、当館は霜田先生よりセンチ波用鉱石検波器の開発に関わる経緯を纏めた論文「電波探知機・電波探信儀用鉱石検波器の研究」を御寄稿頂き、本稿は当館のHPに掲示済みです。http://www.yokohamaradiomuseum.com/shimodawebsite/shimoda.html掲示写真補足 写真左奥がケースより取り出した受信機用マグネトロンM-60Aで、右がその収容ケースである。手前左は米国Sylvania製のTR放電管で、その右がセンチ波用鉱石検波器類である。 鉱石検波器類の内、エボナイト製の太い筒は霜田先生がセンチ波の検波に適した鉱石を発見された後、実験用に製作された検波器で、本品は以前先生より御寄贈頂いたものである。隣の細い筒は霜田先生が開発されたセンチ波用鉱石検波器を基に、七欧無線が製造した普及品で、本検波器はセンチ波用電波探知機や22号系電探(レーダー)を構成した受信機の第一検波器として使用された。これら検波器の右側が、群馬県西牧鉱山の黄鉄鉱で、霜田先生は本鉱石を使用しセンチ波用検波器を開発された。霜田光一履歴 1920年生まれ。理学博士。1943年東京帝国大学理学部物理学科卒業。1948年東京大学理学部助教授。1959年同教授、1960年理化学研究所主任研究員兼任。1981年東京大学名誉教授、慶応義塾大学理工学部教授(1986年迄)。 元レーザー学会会長、元日本物理教育学会会長。1974年東レ科学技術賞、1980年日本学士院賞、1990年勲二等瑞宝章、2008年文化功労者。研究分野はレーザー分光、量子エレクトロニクス、物理教育。