横浜旧軍無線通信資料館掲示板


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    画像タイトル:img20220704122601.jpg -(268 KB)

    旧ドイツ軍機材あれこれ 名前: 事務局員 [2022/07/04,12:26:01] No.9457
     数ヶ月ほど前、当館(横浜旧軍無線通信資料館)の技術調査員である日立市在住の安齊穗積君宅へ、ドイツ空軍の高級受信機「E52a-1」(二台)や野戦用高級受信機「Kw.E.a」他を修復の目的で搬入した。

     この内、Kw.E.aとE52a-1型受信機1台の修復が完了したため、先般事務局員は軽自動車で受け取りに参上した。朝5時に出発し、都内経由で日立に向かったが、首都高は複雑怪奇で、運転音痴の事務局員は何度となく肝を冷やした。しかし、帰路は安齊君の運転のため、誠に快適な運搬となり、大助かりであった。

     さて、持ち込んだKw.E.aには感度不良、AGCの動作不良が確認されたが、これらは不良部品の交換、切替器の接点清掃及び調整等により回復した。

     一方、E52a-1型受信機は二台を持ち込んだ。一台は入手時より動作状態にあったものの、時折局部発振が停止し、修復が必要であった。また、他の一台はバラバラの状態の予備機であるが、可能であればこれを組み上げ、動作状態に復帰させることが目的である。

     局発動作不良機については、該当同調蓄電器部の半田付け不良が発見され、この部分を再半田し動作は回復した。とは言え、局発同調回路の修理には、重量40kgの受信機を分解する必要があり、これは誠の大仕事で、安齊君には気の毒な事であった。

     予備のE52a-1型受信機については、4周波数機械式登録機構が欠落してはいるものの、主要構成各部に致命的欠品は無く、既に組み立てが完了し、第一周波数変換部以下の動作が確認された。但し、高周波増幅1段、2段部の同調コイルを構成するダストコアが欠品で、また、ガラス製光学投影式ダイアル目盛盤に傷があり、その対処は難しいと考えられた。

     しかし、幸いにも、ダストコアと目盛盤については、ドイツの収集家より提供を受けられる事となり、基本動作の回復に向けた大筋が整う事となった。このため、そう遠くない将来に、E52a-1型受信機二台の聞き比べも可能になると考えられ、誠に楽しみである。

     ところで、之を機に当館二階の趣味の部屋に、戻ってきたE52a-1型受信機と米軍のFRR-23を持ち込んだ。FRR-23は米国海軍がE52型受信機を模倣し、1960年代に開発したダイアル光学投影式の短波受信機で、戦略目的の傍受用受信機として使用された。このため、最近はよく両機の聞き比べを行っているが、動作に関わる差違はさておき、この状況は事務局員の念願で、まさに至福の一時である。

    Kw.E.a諸元
    用途: 野戦用
    受信周波数: 980-10,200KHz(5バンド)
    電波形式: A1(電信)、A2(変調電信)、A3(電話)
    受信機: スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅2段、周波数混合、局部発振、中間周波増幅3段、検波、AGC増幅、低周波増幅、BFO・較正発振
    中間周波数: 250KHz
    選択度: 中間周波数帯4段、低周波帯4段切替式
    感度: 電信1-2μV(1V/4,000Ω)、電話3-6μ(1V/4,000Ω)
    出力インピーダンス: 4,000Ω
    電源装置: 低圧2V蓄電池・高圧90V積層乾電池又は振動式高圧電源、交流式電源(整備品)
    本体重量: 42Kg

    E52型受信機諸元(a-x、b-x)
    受信周波数: 1.5〜25MHz(5バンド)
    電波形式: A1・A2・A3、手動・自動感度調整
    受信周波数表示: 光投影精細直読表示、扇型指針疎直読表示
    周波数プリセット機能(a-xバージョン): 任意の4周波数(読出しは電動式)
    各部構成: スーパーヘテロダイン方式、複同調高周波増幅2段、周波数変換、自励局部発振、可変帯域中間周波増幅3段、検波・AGC、BFO発振、低周波増幅1段
    中間周波数増幅部: 中心周波数1MHz、帯域幅200Hz〜10KHz連続可変
    BFO: ±5KHz連続可変(a-x)、1000.9KHz水晶発振
    構成管他: RV12P2000 x10、整流管RG12D60x2、定電圧放電管MST140/60Z、バイアス電圧安定化管Urfa610、バイブレーターMZ6001
    空中線入力: 同軸、長、短ロングワイヤー各種
    電源: 交直両用110〜230V(40〜60Hz)、DC12V(4A)
    容積・重量: 24.5x44.6x36.0cm、41Kg

    掲示写真補足
     組写真@は修復の成ったドイツ陸軍の野戦用受信機Kw.E.aで、左側の機材はドイツ陸軍の汎用受信機Fu.H.E.cである。
     写真AはKw.E.aの内部で、中央の同調ダイアル盤部がフロントエンドで、その背後にターレット式同調コイル群が横向きに装置されている。装置の左側は中間周波、低周波増幅部である。
     写真Bはドイツ空軍のE52a-1型受信機で、下段が稼働機、上段は修復中の予備機である。予備機は4周波数登録機構部が欠落しているが、受信機としては修復が可能な状態にあり、投影式ダイアル機構にも問題は無い。
     写真Cは趣味の部屋に持ち込んだ受信機類で、左が三和のアマチュア無線用受信機NR-408、中央がE-52a-1型、右が米国海軍のFRR-23、上に載っているのがロシア陸軍のダイアル投影式受信機R-323である。




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