先般「ヤフオク!」に、戦争末期あるいは戦後間もなくに製造されたと考えられる受信機が出品された。本機は自作の木箱に収容されており、内部構造は不明であるが、塗装や使用部品から判断して、海軍系の受信機であると推察された。 各部の表示から、この受信機は高周波増幅1段、再生(オートダイン)検波、低周波増幅2段という構成を持つストレート式であると推定され、受信周波数は1,500〜20,000kHzである。通常、大戦期におけるこの種の受信機では、高周波増幅にUZ-6C6、検波にUZ-6D6、低周波増幅第1段にUZ-6C6、第2段にUZ-41が使用されていた。 大戦末期、海軍は輸送船および徴用船に搭載する無線装置の標準化を推し進めていたが、それらの受信機も概ね上記と同様の構成であった。また構造には若干の違いが見られるものの、当館(横浜旧軍無線通信資料館)が所蔵する戦時型受信機も、同一の構成を有している。 さて、当該受信機が海軍の機材であるか否かは判然としないものの、資料的価値は高いと判断された。このため応札を予定していたが、不注意にも終了時刻を誤認し、入手は叶わなかった。自ら招いた災いとはいえ、まことに残念であった。