先般、対を成す標記モーターをネットオークションで入手した。本機は、回転機構の角度指示や情報伝達に使用される多相回転機であるが、帝国海軍の射撃管制用レーダーでは、セルシンを仰角・方位角の測定部に装備し、各指示角の自動伝送を行っていた。 地味な製品ではあるが、当館(横浜旧軍無線通信資料館)では資料として、帝国陸海軍が使用したセルシンを長年探していたものの、今日まで入手の機会がなかった。このため、製造は戦後であるが、戦前・戦中のセルシンと同一構造の物を取りあえず入手した。 到着した落札物は、発信機、受信機および給電用トランスの一式であるが、確認すると、なぜか受信機の指示針取付け用の軸が折れていた。そう簡単に折れるものではないが、ネットオークションのことであり、これも致し方ない。 取りあえず懸案が一つ解消し、幸いであった。セルシン補足 セルシンは、回転軸の位置を検出する多相回転機の総称であり、JISにおける呼称は「シンクロ電機」である。 本機は、回転子側に一次コイル、固定子側に120度間隔で放射状に配置された3個の二次コイルを有する回転変圧器であり、角度検出には発信機および受信機の2機を対で使用する。 発信用セルシンの回転子に交流電流を流すと、誘導により固定子の3個の二次コイルに正弦電圧が発生する。この電圧を受信側セルシンの二次コイルに、併せ交流電圧を回転子に加えると、受信機の回転子は発信機の回転子の角度に同期して回転する。