この度、三重県四日市市在住の伊藤義久殿より、帝国陸軍航空隊に関わる下記機材を横浜旧軍無線通信資料館に御寄贈いただきました。伊藤殿の御高配と御協力に、心より感謝申し上げます。・陸軍航空隊用「地2号無線機(ム62無線機)」後期型受信機電源装置・陸軍航空隊用「地3号無線機(ム63無線機)」後期型送信機 御寄贈いただいたいずれの機材も、後年の改造等はなく、原状を維持しており、誠に驚きました。今日にあっては、原状を維持した旧軍無線機材は誠に貴重です。 両機は当館の管理機材として、研究、展示等に広く活用させていただきます。 なお、これらの機材は伊藤義久殿の御祖父が所蔵されていたもので、残念ながら入手の経緯については不明とのことでした。地2号無線機 本機は陸軍航空部隊の中距離用対空・対地通信機材で、第三次制式制定作業において兵器化された94式対空2号無線機の後継機である。 本機には、原型である地2号無線機、改良型である二型、二型の呼称変更型であるム62二型及びその改修型であるム62二型改等、各種がある。しかし、各型を構成する送受信機は、運用周波数を除き、回路構成に大きな違いはない。地2号無線機二型諸元用途:対空・対地通信通信距離:電信500km「送信装置」運用周波数:原型1,500〜10,000kHz(コイル差替式3バンド)、二型2,500〜10,000kHz(2バンド)電波型式:電信(A1)、変調電信(A2)、電話(A3)送信出力:電信150W、電話40W送信機構成:水晶又は主発振E-2053、電力増幅E-2057、格子変調E-2053電源装置:2.2馬力発動発電機、交流式電源空中線装置:逆L型、柱高10m、水平長20m、地線・地網2枚「受信装置」運用周波数:原型140〜15,000kHz(コイル差替式8バンド)、二型2,500〜10,000kHz(3バンド)装置構成:スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅(UZ-6D6)、周波数混合(Ut-6L7G)、局部発振(UY-76)、第1中間周波増幅(UZ-6D6)、第2中間周波増幅(Ut-6B7五極部)、BFO(UY-76)、検波(Ut-6B7二極部)、低周波増幅(UZ-41)中間周波数:長波帯65kHz、短波帯450kHz電源装置:6V蓄電池・回転式直流変圧器(受信機内蔵)、交流式電源(整流管KX-80)空中線装置:不明地3号無線機 本機は陸軍航空部隊の近距離用対空・対地通信機材であるが、実際には軽便な汎用機材として各部門で広く使用された。本機は中型航空機による輸送を考慮して設計され、構成装置各部は小型・軽量で、必要に応じて人力による運搬も可能であった。 地3号無線機の通信距離は電信100kmで、運用形態は第四次制式機材に共通して、電信は電鍵の操作によるブレークイン方式、電話は電鍵の操作による変則的なプレストーク方式である。 本機には原型及び2種類の改良型が確認されているが、各型の主要構成回路に大きな違いはない。地3号無線機諸元用途:対空・対地通信通信距離:100km送信周波数:1,500〜6,675kHz(コイル差替式3バンド)電波型式:電信(A1)、変調電信(A2)、電話(A3)送信機構成:A1出力40W、A2・A3出力8W、水晶又は主発振UZ-6D6、電力増幅UY-807A×2並列構成、第1格子変調UZ-6D6送信機電源:0.6馬力発動発電機、交流式電源送信空中線装置:逆L型、柱高6m、水平長20m、地線・地網2枚受信周波数:1,500〜8,900kHz(コイル差替式4バンド)受信機構成:スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅1段(UZ-78)、周波数変換(Ut-6A7)、中間周波増幅1段(UZ-78)、オートダイン・再生式検波(UZ-78)、低周波増幅1段(UZ-78)中間周波数:450kHz受信機電源:直流回転式変圧器及び6V蓄電池受信空中線装置:直操時は送信空中線と共用、遠操時用は不明