海軍無線機材
WWII Japanese Navy Radio Equipment

・92特受信機2型改-4
・TM式短移動無線電信機
・KR-134F長波受信機
・90式無線電話機(受信部)
・移動特用電信機改-1
・海軍TM式軽便無線電信機

・Model 92 Special Receiver Improvement 4
・Model TM Shortwave Mobil Radio Set
・KR-134F Longwave Receiver
・Model 90 Radio Telephon Set(receiver)
・Navy Special Mobile Radio Set
 Improvement-1
・Model TM Handy Radio Set


海軍90式無線電話機改4
Navy Model 90 Radio Set Improvement 4
艦隊内通信用無線機材、大戦を通し殆ど総ての海軍艦艇に装備された。
通信距離:10Km
周波数:32,000-53,000kHz
電波形式:A2(変調電信)、A3(電話)
送信入力:5W
機器概要
送信機:自励発振UX112A、陽極変調UX112A
受信機:他励超再生方式、検波UX199、低周波発振UX201、低周波2段UX201 x2
電源:蓄電池
空中線:垂直ダイポール

以下は昭和19年10月24日、壮絶な戦闘の末シブヤン海で撃沈された戦艦武藏が旗艦大和と交わした最後と思われる無線電話交信である。

機材は艦隊内通信系の90式無線電話機であると思われる。

1452「鳳2、こちら鳳1、ちとせ33、コンゴー・ローザン・ウンテン・たった36・鯉4・鯉7」(注・隠語で、武藏こちら大和、貴艦はコロンに向かえ、浜風・清霜は護衛せよ)と送話する。「昼間、こちら鳳2」(了解こちら武藏)と元気な声が返ってきた。

これが最後の電話であったろうか、その後艦隊は反転して2度武藏のそばを通ったが無線発電機の浸水のためか不明であるが通信は出来ず護衛駆逐艦の中継によった。・・・
(海軍通信学校同窓会報No108、私の戦歴より抜粋)


「待避行動をする武蔵、被弾が激しい」

「海軍92式特受信機改4」
Model 92 Special Receiver Improvement 4

海軍の代表的受信機。本来は潜水艦用として開発された受信機であるが、動作、使い勝手が良好であった為、大戦を通し海軍の全艦艇及び陸上局で使用された。制定以後、周波数の安定を改善するため幾度となく改良された。

周波数:20-20,000kHz
機器概要:長波帯(20-1,500kHz):2-V-1のオートダイン
中波及び短波帯(1,500-20,000kHz):高周波2段、周波数変換部付加の
スーパーヘテロダイン方式(7球)
電源:直流100V叉は、直流200V及び6V(直流または交流)


92特用線輪

1945年9月、SORONG, DUTCH NEW GUINEA、
Australia軍の調査を受ける海軍通信設備。
(写真出典:Australian War Memorial)

「海軍TM式短移動無線電信機改2」
Navy Model TM Shortwave Mobil Radio Set Improvement 2


TM式送信機

海軍の代表的陸戦隊用無線機材である。92式特受信機他と併用し陸上固定局用としても使用された。

周波数:1,750-18,000kHz
電波形式:A1(電信)
送信入力:300W
送信機:主発振UX202、励振UV814、電力増幅UV812
受信機:2-V-2オートダイン方式(UZ77-UZ77-UY37-UY37-UZ41)
送信機電源:2馬力1Kwガソリン機関出力AC100又は200V、AC電圧調整器、高圧整流電源(HX-966 x4本)を使用
受信機電源:乾電池


TM送信機内部、真空管はUV-812


TM式受信機


受信機同調コイル部(前面パネル蓋内部)

1945年9月、SORONG, DUCH NEW GUINEA Australia軍の調査を受ける海軍通信施設。
TM送信機の下がAC電源調整器、その下が送信機高圧整流器。

(写真出典:Australian War Memorial)

海軍TM式軽便無線電信機
Navy Model TM Handy Radio Set


機材及び装備、空中線、空中線展開索、電鍵等は造り付けとなっている。

本機材は兵一名で運搬可能なトランク型の可搬式簡易電信機で、TM式短移動無線電信機と共に、海軍陸戦隊の代表的通信機材である。軽便なため陸上戦闘以外にも、港湾に停泊中の艦船と陸上、汽艇間、また小型艦艇の補助無線機とし海軍各所で使用された。

用途:近距離通信用可搬機材
通信距離:5Km
周波数:4,500-11,000kHz
電波形式:A1(電信)
送信出力:1W
使用真空管:UY-27 x2
送信:UY-27 並列使用による自励発信
受信:オートダイン方式、検波UY-27、低周波増幅UY-27
電源:乾電池・蓄電池又は交流電源
空中線:ロングワイヤー型
摘要
掲示機材は交流電源仕様である。乾電池・蓄電池にて使用の場合は真空管UX112A x2を装備する。
なお、掲示機材は末期型でダイヤル等が従来のTM電信機とは異なっている。


運用中のTM式無線電信機


機材内部、左のリールは空中線、右は空中線展開索巻き取り装置。トランクの底板部分は朽ちて無くなっている。


トランクより取り出した電信機本体


電信機内部、同一ボビンに送信発振コイル、受信同調コイルが巻かれている、装備真空管はUY-27二本。


空中線・展開索端末装置及び地線


空中線巻き取り装置


送信同調部及び空中線引き出し部

 


「海軍移動特用電信機改-1」
Navy Special Mobile Radio Set Improvement-1 for midget submarine
KAIRYU &KORYU


移動特用電信機改-1、左側受信部、右側送信部

大戦末期に開発された特殊潜行艇海竜・蛟竜搭載用無線機材である。
当初、甲標的で使用されていた無線機材(機材名不明)と同一機材の搭載を予定したが、生産が間に合わず、「移動特用電信機」を若干改修し装備することになった。

周波数: 5,000-10,000kHz
電波形式:A1(電信)、A3(電話)
送信入力:60W
送信機:水晶叉は主発振UZ-42、電力増幅UY-807A、第一格子変調UZ-42
受信機:スーパーヘテロダイン方式、高周波1段、中間周波1段、低周波2段、8球式、UZ-6D6 x7、Ut-6B7 x1
電源:直流変圧器、出力;高圧750V、低圧250V
空中線:海竜は棒型空中線(甲標的と同じ約1mの棒状)、蛟竜は棒型空中線又は起倒式マストによる逆V型


機材背面、左送信部電力増幅管はUY-807A


受信部前面、低周波部の真空管2本がここに装備されている


送信部内部


解体のため呉海軍工廠ドックに集められた蛟竜、司令塔右舷後部に起倒式の空中線用
マストが装備されている。(Japanese Navy midget submarine KORYU)