先日、横須賀市野比にある横須賀リサーチパーク(Yokosuka Research Park)に開設されている、YRP無線歴史展示資料室を見学させて頂いた。 YRPは、かねてよりこの地にあったNTT横須賀通信研究所を中心に、公的な研究機関や国内外の主要企業、大学の研究室が集合した無線通信分野の一大研究開発都市である。YRP無線歴史展示室は本施設の1号館一階に開設され、収蔵展示物は関連各企業や大学、有志により寄贈、寄託をされた物だそうである。 YRPの性質上展示は無線技術に特化しているが、その内容は日本海海戦に使用された36式無線電信機の複製より、第5次世代の携帯電話に至まで、誠に広義に渡っている。本分野は一般の方々や低学年の子供達には若干難解ではあるが、展示はパネルを多用し理解が容易となる工夫がなされており、また、補助教材として多くの自作実験装置が展示されていた。 YRPは三笠記念艦を有する横須賀市の一角に位置するため、展示物の中でも日本海海戦で活躍した36式無線電信機には力が入っており、高圧発生用の誘導コイルは誠に素晴らしく復元されていた。また、受信機に使用されたコヒーラ検波器(スイッチ)の実験装置も用意され、その動作が容易に理解出来る様に配慮が成されていた。併せ、火花式通信装置に関連し、TYK無線電話機の自作実験装置も展示されており、誠に驚いた。本実験機材では、空中線回路に挿入したカーボン式送話器による送話実験にも成功されたとの事である。 展示物は何れ素晴らしく興味は尽きないが、小生が最も驚いたのは帝国海軍の対空監視用レーダーである1号電波探信儀3型(13号電探)の部品格納筺が展示されていた事である。当館は13号電探を展示し、予備品収容筺を所蔵しているが、部品格納筺は未所蔵で、期せずして本品に出会い誠に幸であった。 さて、YRP無線歴史展示室の太田室長には長時間にわたりご説明を頂き恐縮したが、YRP設立の意義も含め、多くを学ばせて頂いた。また、YRPの中心施設である現NTT横須賀通信研究所には個人的に若干の思い出もあり、誠に素晴らしいYRP無線歴史展示室の見学となった。