この度、JA1AI稲葉OMより展示用真空管セットを当館(横浜旧軍無線通信資料館)に御寄贈頂きました。日頃のご協力と併せ、稲葉OMのご高配に心より感謝申し上げます。御寄贈頂いた真空管セットは稲葉OMがラックを利用し制作されたもので、真空管の黎明期より全盛期に至る代表的な真空管各種が説明付きで、簡潔に展示されています。 構成真空管には古典管であるDe ForestのAUDION DV-3(元箱付)や、帝国陸海軍のRH-2、FM-2A05A、ソラ等も含まれており、誠にバラエティに富んだ内容となっています。御寄贈頂いた展示ラックは取り敢えず玄関に置き、簡単な耐震対策を施しました。いずれ館内を整理し、移設の予定です。 ところで、上記御寄贈品とは別に、以下の色々な品々を頂きました。いずれも懐かしく、また、興味深く大感激でした。・HamKit(50MHz)・イーグルスプリングアンテナ・ヒシエス振動式充電機・ドイツ国民ラジオ VE-301 Dyn頂き物補足 HamKitは昭和30年代の後半に稲葉OMが起業された湘南高周波が製造販売した6mのクリスタルコンバーター(クリコン)である。本クリコンは簡単に6mを聞くことができるため、当時大ヒット商品となった。小生も購入し、初めて正式(それ以前は3A5TRX)に6mにQRVを果たした思い出の品である。 振動式充電器はバッテリー式ラジオの蓄電池式A電池の充電器で、100Vのカーボン電球と直列に装置した振動器(ブザー)により構成され、電圧、電流の調整は電球の交換により行った。動作は、片側に接点の付いた鉄片を交流電源周波数で左右に振動させ、片側の接点で半サイクル分を取り出す半波整流器構成である。 ドイツ国民ラジオ VE-301 Dynは以前稲葉OMより旧軍機材を御寄贈頂いた際、お礼として差し上げた物であるが、今回当館に戻る事になった。この受信機は再生検波、低周波増幅1段、電源整流の並3構成ではあるが、そのデザインは無駄な装飾を廃し合理性を追求したバウハウスの影響を強く受けており、小生の最も好きなラジオの一つである。