この度、Face Book仲間である北九州在住の未来湖南殿より、スター製のSP BOX「STAR SP-7」をご寄贈頂きました。未来殿のご協力に心より感謝申し上げます。御寄贈に至る経緯 先年事務局員は若干の思い入れもあり、スター社が1960年代に発売したAM送信機ST-333をFBのHAM交換室で入手しました。その後ラインナップ一式を完成させるべく、対の受信機SR-550のジャンクも何とか確保しましたが、このラインを完成させるには、オリジナルのスピーカー「STAR SP-7」を入手する必要がありました。 このSPは誠に希少品のため、その入手は困難と考えられましたが、FB仲間の未来湖南殿がこれを所蔵されて居られることが判明し、厚かましくも譲渡についてお願いを申し上げた所、なんと、当館に御寄贈頂ける事となり、あれよという間に、当時のスター製AM式送受信機1ラインが揃う事となりました。 なお、両機は当館の技術調査員である安齊穗積氏により、毎度の如く、物の見事に修復されましたが、原型の保存を優先したため、送信機に若干のハムが残りました。ST-333 本機はスター社が1966年に発売したAM送信機です。旧軍機材を含め、修復意欲は既にありませんが、収集意欲だけはまだ若干残っており、記憶に残るアマチュア無線機器の事もあり、今更ではありますが、入手をしてみました。 ST-333は真に不思議なAM送信機で、その販売はトリオのTX-88Aより5年も遅い1966年の事でした。この時期、SSBは既に広く普及し始めており、事務局員ごときもトリオのPSN型SSB送信機TX-15及び対の受信機JR-500を購入し、併せTVの水平出力管を使用したリニアを準備中でした。 スター社自身も1963年よりSSBに対応する受信機SR-600やSR-500の販売を既に始めており、1965年にはSSB送信機ST-700を導入しています。このため、今更AM送信機を販売する事に意味は無かったと思うのですが、関連記事によると、本送信機はその後販売が予定されたSSBアダプターの追加により、SSB送信機への改修が可能とのことでした。 しかし、SSBアダプターは販売されず、また、TX-15系送信機や八重洲のトランシーバーFT-50等廉価な製品が導入され始めたため、結局ST-333を顧みる者は殆どおらず、その販売台数は極わずかに留まりました。この誠に奇妙な販売戦略とその外観のためか、ST-333は事務局員の記憶に留まる事になりました。SR-550 本受信機はハムバンド専用のダブルスーパで、同時期に発売されたシングルスーバーの受信機キット、SR-500Xの中間周波数部(1650kHz)に、55kHzの第二中間周波増幅部を付加した高級機です。当時は既に八重洲やトリオによるSSB機材の販売が進んでおり、これらの受信機はコリンズタイプのダブルスーパーであり、性能を考えればSR-550の様に、第一局部発振が自励式受信機に勝ち目はありません。しかし、本式で有りながら、その運用周波数帯に50MHzが含まれており、その無謀とも思われる設計に当時事務局員は何故か惹かれました。 さて、SR-550の使い勝手ですが、電源を投入し二時間も経てば、周波数、BFO回路も安定し3.5〜28Mhz迄は問題なくSSB信号を復調することが出来ます。感度も所蔵のFT-450Dと比べて遜色はなく、正直たまげたる事になりました。しかし、50 MHzは状況が異なり、受信感度は若干低下し、また、SSBの受信には同調ダイアルとBFOツマミを放すことが出来ません。何より、この周波数帯ではダイアルの減速比が小さすぎて、SSBの復調自体が酷く難しい状況です。 SSBの復調に苦労する中、偶然にもAM局を受信し、誠に驚きました。AM信号の復調は誠に快適で、同調操作に問題は無く、また、当然ですが周波数の変動も気になりません。遅まきながら、ここでハタと我に返りました。この受信機が販売されていた1960年代、6mでは未だAMが主流で、SSBは新参者でした。つまり、AM送信機ST-333とSR-550の組み合わせによる50MHzへのQRVに、大きな問題はありませんでした。 修復したAM送信機ST-333には若干ハムが残っており、現在の所実際に電波を出すことは叶いません。しかし、SR-550による6mのAM局受信は実用の範囲であり、ここに来て、スターラインによる本バンドへのQRVが興味の対象と成りました。しかし、実際問題として、ST-333は技適承認の対象と成るのでしょうか、其れが問題です。