先般久しぶりに乾電池を購入した。今般入手の電池は表記の如く無線機用のB電池で、電圧は22.5V・27V・30V・45V、容積は8x21.5x18cmで、重量は3.7Kgである。 製造は日本乾電池(高砂工業株)で構造から戦中の製品と考えられるが、民需用で軍用ではない。しかし、供給電圧が軍用構成で、また、紙枠の絵柄が軍用電池と似ているため、その両方を兼ね製造されたと考えられる。 以前類似の朝日乾電池製のB電源用電池を入手したが、給電電圧は16.5V・19.5V・22.5V・45Vで、また、紙枠の柄からして、明らかに民間のバッテリーラジオ用であった。 何れの電池も、内部には1.5Vの単三電池より若干大きめの乾電池30本が直列に繫がれ、樹脂で固められた構造である。 参考資料として、沖縄戦で米軍が鹵獲した陸軍の27号受信機の写真を掲示したが、左側に今般入手の電池と同一構造の電池2個が写っている。この縦柄模様が軍用、公官庁仕様で、紙枠には陸海軍・交部省・鉄道省・逓信省他官公庁指定の表記が確認出来る。 27号受信機の高圧は135V及び90Vで、通常は22.5VのB18号積層電池6個を直列に接続し、90Vはその中途より取り出している。 写真より推察し、当該受信機が設置された場所は軍司令部又は師団司令部の受信所で、待ち受け受信等長時間の運用を行うため、B-18号乾電池に替え、大容量の大型B電池を使用したと考えられる。このため、写真に写る大型B電池は2個であるが、実際は3個が使用されていたはずである。