昭和19年4月は、戦争末期で敵の我が本土上陸が必至、これを迎撃すべき陣地構築が始まろうとしていた。 その最先端の砲座等各部署を指揮する手段は 有線電話が構築に合わせて敷設されていたが、戦闘が開始されれば爆撃、砲撃により埋設をしてあっても電線は破壊される不安がある。無線によって指揮通達を二重系とし、確実化する。『全波受信機』はそのためのものと考える。さらに進めて高声機能を付加し、即時一斉伝達を可能にした。 緊急策として作られた受信機だ。そうでなければ、敵の謀略放送の受信も出来る『全波受信機』の配置は不適当! 当時私の居た相模湾は敵の本土上陸作戦が必須想定の場所で、熱海と藤沢で砲台連絡用トンネル堀に数回動員された。既に有線電話が開設されていて責任者が開始、休憩、終了、分隊間の交代等の指令を受けてメガホンで伝達していた。この電話回線は陣地完成後も利用するが、確実とは言えない!(余談)掘削成績が良くて所属分隊は、少佐の隊長から褒められた。『全波受信機』は、放送受信機である。通信兵でなく、一般兵にも操作できる『ラジオ』だ。敵による電波攪乱を想定して全波とした! 指令側は放送機で、数ワット〜数十ワットのA3送信機を別途製造したが規格化するほどの数ではかっただろう?旧来のA1送信機を予備的に使用を考慮して、受信機にVFOが付加したものか?
安原様 海軍「全波受信機」に関わるご検討、誠に有難うございます。 確かに、機能からして、本機は通信用では無く、本土決戦に於ける放送系の受信を目的にしたものとも推察されます。 本受信機は塗色が深緑色のため、海軍航空部隊用ではないか、と考えております。