横浜旧軍無線通信資料館掲示板


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    画像タイトル:img20221109115112.jpg -(254 KB)

    National製初期型短波受信機各種 名前: 事務局員 [2022/11/09,11:51:12] No.9485
     先日、期せずして、米国National製の初期型短波受信機SW-3、SW-4、SW-5を入手した。これらは同社のHRO受信機以前の製品で、何れもが再生・オートダイン検波のストレート式である。

     入手受信機の程度は非常に良好であるが、これらの内、SW-5はコイルが欠品しており、撮影は構造が同じSW-3のコイルを装着して行った。

     なお、受信機の型式「SW」は短波機材を指し、続く数字は構成真空管の数を表している。このため、型式は各機の導入順位とは関係がない。

    SW型受信機の系譜
     1927年頃よりNational社は一連の短波受信機SW-2、3、4、5他を暫時発売したが、当初2球式、3球式は単にThrill Boxと呼ばれ、4球式がSW-4 Thrill Boxと標記された。

     各機は高周波増幅付の再生・オートダイン検波方式で、何れの受信機も同調コイルはプラグイン構造の差替式である。同調機構はSW-2〜4が変則のバーニャ構造で、SW-5は糸掛式であり、各機の周波数は置換表により読み取る。

    各機概観
    SW-2
     Nationalが最初に発売したのは2球式のSW-2である。本機は高周波増幅、再生・オートダイン検波構成で、2.5-20MHzを4バンドで受信した。何故か低周波増幅回路は具えて居らず、出力は検波管の陽極回路に負荷抵抗として受話器を直列に接続し、取り出した。

     高周波増幅段は直熱式四極管222で構成されているが、入力回路は高周波チーク(RFC)で代用した非同調方式であり、その主要用途は検波回路が発する輻射波の抑圧である。検波回路は直熱式三極管112Aで構成され、再生帰還量の調整は陽極電圧可変方式である。

    SW-4
     次に販売されたのが、4球式のSW-4である。本機は高周波増幅、再生・オートダイン検波、低周波増幅2段構成で、1-16.6MHzを6バンドで受信し、構成管は直熱式である。

     高周波増幅段はSW-2と同様に四極管222で構成され、入力回路も同一のRFCによる非同調方式である。検波回路は三極管200Aで構成され、再生帰還量の調整は陽極帰還コイルに付加されたQダンプ用抵抗器を可変して行う。同調蓄電器は変則の二連構成で、低周波数帯域では付加されたスイッチにより、蓄電器の容量を増加させ使用する。

     低周波増幅回路は1段部が三極管240で、2段部は三極管171Aにより構成され、出力側に変成器付きのスピーカーを接続する。

    SW-5
     1929年に五球式のSW-5が発売された。本機は高周波増幅、再生・オートダイン検波、低周波増幅2段構成で、0.6-33MHzを9バンドで受信する。また、アマチュア無線家用に、3.5、7、14MHzのハムバンド拡大用コイルが別売された。

     本機の高周波増幅段は傍熱式四極管235で構成され、漸く回路はL・Cによる同調構成となった。検波回路も235で構成され、再生帰還の調整は、検波管の遮蔽格子電圧可変方式である。各段の同調蓄電器は二連構成で、また、空中線入力回路には補正蓄電器が装置されている。

     低周波増幅回路は一段部が傍熱式三極管227で構成され、2段部出力回路は直熱式三極管45二本によるP.P.構成である。受話器は一段部の出力側に接続する。

    SW-3
     本機はパンナムの、南米航路を飛行する飛行艇への搭載を考慮し設計された通信型受信機で、導入は1931年である。用途を考慮し、同調コイルには従来の湿気に弱いベークライト製ボビンに替え、マイカ粉末を高電熱で処理したQの高いモールド製ボビンが採用された。

     SW-3は高周波増幅、再生・オートダイン検波、低周波増幅1段構成で、差替え式コイルにより0.15-33MHzを10バンド受信する。併せ、SW-5と同様にハムバンド拡大用コイルが販売された。

     本機の原型は線條電圧2.5Vの傍熱管により構成された。高周波増幅、検波回路は四極管35により構成され、検波段の再生帰還量の調整は、検波管の遮蔽格子電圧可変方式である。各段の同調蓄電器は二連構成で、また、空中線入力回路には補正蓄電器が装置されている。

     低周波増幅部は三極管27により構成され、低周波出力は陽極回路に負荷抵抗として受話器を直列に接続して取り出す方式である。

     1935年3月にHROの原型が販売されたが、同時期、改良型のSW-3 U型が導入された。本機は線條電圧6.3Vの傍熱管により構成され、アマチュア無線家の間で大好評を博した。以降、構成や、構成管が異なるSW-3各型が導入され、1940年頃まで生産が続けられた。

    掲示写真補足
     組写真@、掲示は今般入手した受信機3台である。左側の下はSW-4、上部に載っているのがSW-3のコイルセットである。右側下部はSW-5、上がSW-3である。
     写真AはSW-4の内部である。
     写真BはSW-5の内部で、同調機構がSW-4とは異なる。
     写真CはSW-3と構成コイルである。




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