横浜旧軍無線通信資料館掲示板


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    画像タイトル:img20250201112458.jpg -(272 KB)

    対空監視レーダー「Freya」構成CRTの入手 名前: 事務局員 [2025/02/01,11:24:58] No.9572
     先般FB 「WWII German Signals and Communications Equipment」のドイツ人メンバーより標記のブラウン管(CRT)を購入し、本日到着した。このCRTはドイツの代表的対空監視レーダーであるFreyaの主監視装置を構成するHR2/100/1.5 (直径100mm)で、本管は内部には二本の電子銃を具え、二波形を表示する。

     当館は以前よりFreyaの構成機材を入手したいと考えていたが、当然それは無理で、このため、本機を象徴するこのCRTの入手を切望していた。到着したCRTは考えていた以上に大きく、電子銃も真に立派で感激した。これで、懸案がまた一つ解消し、誠に幸いである。

     ところで、本CRTの入手に際し、出品者はPAYPALでの支払いを受け付けず困ったが、幸いにもオランダのメンバーであるErich Reist氏が代行し銀行振り込みを行ってくれた。Erich Reist氏のご協力に心より感謝を申し上げる。

    When I tried to buy this CRT, the seller did not accept payment by PAYPAL, which was a problem, but fortunately Mr. Erich Reist, a member from the Netherlands, made the bank transfer on my behalf. I would like to express my sincere gratitude to Mr. Erich Reist for his cooperation.

    Freya(フライア)
     本機はドイツGEMA社が当初海軍の依頼により1937年に開発した地上設置型の対空早期警戒用レーダーで、標的の方位角及び距離の二諸元を測定した。空軍に於けるフライアの導入は1939年で、当初本機の測定は最大感度方式であったが、その後等感度方式に改良された。

     ドイツ空軍は早い時期に敵味方識別装置(IFF)FuG25aを導入したが、このためフライアにもIFF信号の測定機能が追加され、IFF用受信空中線は既設空中線装置の上部に設置された。機上のFug25aはフライアの送信波を受信すると、そのバルスに識別用の変調を行い156MHzで返送した。IFF機能の追加により、改修型のフライアは今般入手した電子銃が二重構造のCRTを使用し、探索、測距、方位等感度測定用の反射パルスをCRTの上部に、IFFの返送パルスをその下に併せ表示した。

     フライアにはLIMBER型と、改良型のPOLE型があり、共に分解移動が可能な構造である。LIMBER型は88mm高射砲基台の上部に木製の短信室を載せ、その上部に空中線装置を設置した構造で、探索は短信室を回転させ行った。POLE型は短信室の中央に空中線装備用のパイプを建て、測定は空中線装置のみを回転させ行う構造である。

     本機の公称探索距離は200kmで、大戦後期になるとその探索範囲の拡大が要望され、遠距離監視型として海軍は仰角測定機能を具えたWasserman(ワッサーマン)を、空軍は空中線位相合成方式のMammute(マムート)を導入したが、空中線装置を除く両機の主装置は既設フライアの転用、または、一部機能を追加したものである。

    帝国海軍とFreya
     1941年(昭和16年)1月、帝国海軍は英国と熾烈な戦いを交えていたドイツに軍事視察団を派遣したが、団員であった伊藤庸二造兵中佐(当時)他電子機器関係者はドイツ海軍より対空監視レーダーの概要説明を受け、また、3月23日の夕刻、ロリアン軍港(フランス)近郊でFreyaを検分する機会を与えられた。

     当時帝国陸海軍は英独他各国に駐在する武官等よりの情報を基に、レーダーの研究を始めていたが、肝心な電波形式が判然とせず、本格的開発には程遠い状況であった。しかし、伊藤中佐らの調査により、発射電波はパルス変調方式である事が判明し、また、送受信用空中線や送受信機、波形表示方式等も明確となり、この情報は電報により直ちに海軍本部に報告された。以降帝国陸海軍のレーダー開発は急速に進捗し、海軍は1号電波探信儀1型を、陸軍は電波警戒機乙を開戦の直前に完成させた。

    Freya(等感度測定式)諸元
    用途: 対空早期警戒
    運用周波数: 125MHz
    繰返周波数: 500Hz
    パルス幅: 2μs
    尖頭出力: 20kW
    送信空中線: 半波長ダイポール垂直6列2段、金網式反射器付
    受信空中線: 半波長ダイポール垂直3列2段左右二組(等感度測定構成)、金網式反射器付
    送信機: 発振管TS41 x2(P.P.構成 )
    変調方式: パルス変調管RS391
    受信機: Wスーパーヘテロダイン方式、高周波増幅1段、第一中間周波増幅2段、第二中間周波増幅2段、低周波増幅1段
    中間周波数: 第一中間周波数15MHz、第二中間周波数7MHz、帯域幅900kHz
    測定方法: 等感度方式
    信号表示: Aスコープ方式
    有効測定距離: 150km
    測距精度: ±50m
    測角精度: ±0.2°
    設置場所: 海抜60m以上
    電源: 一次電源380V




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