当館は現在旧軍無線機材の編纂に関わる関連資料として、大戦期に於ける米軍の携帯式無線電話機についての纏めを行っている。対象機材は陸軍通信隊のBC-222/SCR-194・195、BC-611/SCR-563-A、BC-1000/SCR-300及び海軍のTBYである。
先般、これらの内、最後に残った海軍のVHF簡易機材「TBY」について纏めを完了し、資料に添付する写真の撮影を行った。しかし、本体を筐体より取り出したところ、なんと、送信部の発振同調コイル4本(4バンド)の内、装備されていたのは50MHz帯をカバーする3番コイル一本のみで、有ろう事か他の3本は外されており、驚愕した。
このTBYに就いては、入手に関わる記憶があまり無い。TBYは簡易無線電話装置ながらよく出来た機材で、過去に装置完全一式を二度ほど所蔵した事があった。しかし、時期は資料館開設以前で、このため、特段の考慮無しに手放した経緯がある。
その後編纂作業の関連で再度の入手が必要となり、「ヤフオク!」で本機を落札した事は覚えている。出品時に掲載された写真で状態は把握しており、入手時に細部を確認する事も無く、長い間放置していた。
送信部の同調コイルは受信部と同一のターレット構造で、上蓋を開け内部を見ればその状態を確認することが出来る。しかし、バンド3のコイルを上部より見える位置に設定して写真を撮れば、他3本のコイルは確認する事は出来ない。ただし、落札は小生の責任に於いて行っており、文句を付けられる事柄でも無い。之が古物買いである。
とは言え、全く予期せぬ出来事で驚きは大きく、久しぶりに泣いた。
米国海軍簡易無線電話機「TBY」補足
TBYは1930年代の後半に開発された米国海軍のVHF携帯無線電話機で、陸戦隊や艦隊等海軍の各部署で広義に使用された。本機は送信が自励発振・直接輻射方式で、受信が超再生検波方式の簡易無線機材であり、運用周波数は28-80MHzである。TBYは兵一名が背負い移動しての運用が可能であるが、通常は半固定式で運用する事が多かった。本機は大戦終了まで使用されたため、開発以降多くの改良が施され、各型が生産されたが、基本回路構成に然したる違いは無い。
TBY-8緒元
用途: 海軍陸戦隊用
通信距離: 約1.5km
電波形式: 変調電信(A2)、電話(A3)
送信出力: 0.5W
運用周波数: 28-80MHz(4バンド)
送信構成: 発振「958A(P.P.構成)」、陽極変調(ハイシング変調)「1E7G(五極部.P.P構成)」、音声増幅・低周波発振「30」
受信構成: 高周波増幅「959」、超再生検波「958A」、低周波増幅1段「30」、低周波増幅2段「1E7G(五極部.P.P構成)」、較正用水晶発振「30」
電源: CNC-19018B型乾電池(156V、3V、1.5V、-7.5V)
空中線: ロッド型、2.7m10段繋
総重量: 約13Kg
2023年が開け、再び際限の無い資料収集の日々が始まった。当館(横浜旧軍無線通信資料館)は各位のご協力を頂き、之までに帝国陸海軍の無線機材や電波兵器に関わる多くの機器を収集してきたが、しかし、未だその片鱗すら確認出来ていない機材も数多くある。その一つが帝国海軍の大型航空機用方向探知機、「T式空4号無線帰投方位測定機(テ式空4号)」である。
本方向探知機は独逸テレフンケン社製の機上用方向探知機EZ-2(Peil-G V)を海軍が輸入し、制式化したもので、96式や一式陸上攻撃機等に搭載された。この方向探知機はその後、国際情勢の緊張により入手が困難となり、1940年(昭和15年)頃に急遽国産化され、「零式空4号無線帰投方位測定機」として制式化された。
原型であるPeil-G Vは民間航空機用の方向探知機として、我が国を含む各国の大型航空機で使用され、世界一周飛行を行ったニッポン号も本機を装備していた。
当館は之までに、国内に於いてテ式空4号や零式空4号を発見、入手する事ができず、このため、最近は原型であるEZ-2(Peil-G V)を入手すべく、欧州の収集家に協力を依頼してきた。しかし、大戦中ドイツ空軍は旧式の航空機材を鋳つぶし、新兵器の製造に流用したため、彼の地にあっても本機は希少品で、現在まで、入手に繫がる情報は皆無である。
この調査に関連し発見したのが、先般掲示のドイツ人コレクターDieter Beikircht氏が所蔵するPeil-G X(EZ-2)であった。本収集物はあまりにも完成度が高く、小生は誠驚愕した。
https://www.youtube.com/watch?v=NSX7EyRG3k8
ところで、大戦期、帝国陸軍航空隊もEZ-2を参考に、「飛1号方向探知機」を開発し、大型機に配備した。本機については受信機の存在を二台ほど確認したが、残念ながら、当館が入手出来る状況には無い。
陸軍は飛1号方向探知機に続き、中型機用の「飛2号方向探知機」を開発するが、本機については比較的残存機があり、幸い当館も枠型空中線を除く主要構成機材を所蔵している。
以上の如く、現在の所、テ式空4号、零式空4号及びEZ-2(Peil-G V)の入手に関わる手立ては無いが、年頭に際し、本年はこれら機材を是非とも収集したく、強く決意、期待する次第である。
海軍「T(テ)式空4号無線帰投方位測定機」諸元
用途: 大型航空機
測定項目: 一般受信(単一方位確定)、手動受聴式、航路計式、A/N復調式
運用周波数: 長波165-400KHz、中波400-1,000KHz
電波形式: A1(非変調波)、A2・A3(変調波)
受信構成: ストレート方式、空中線合成・位相反転回路、高周波増幅3段、検波、低周波増1段、唸発振(BFO)、AGC機能付、構成管五極管NF-2 x6
電源装置: 直流回転式変圧器
空中線装置: 方位測定用回転式枠型空中線(ループアンテナ)、補助垂直空中線(センスアンテナ)/兼通信用固定空中線、地線機体接地
T式空4号補足
本方向探知機は受信機本体、ループアンテナ及び回転器、通信用空中線と兼用のセンスアンテナ、管制器、電源装置他により構成され、機上に於いて、一般受信、手動受聴式方位測定及び、航路計式、A/N復調式による帰投方位測定(ホーミング)を行う。
本方位測定機は受信同調や測定に関わる操作の一切を、ワイヤーケーブルを介し外部に設置した管制器により遠隔にて行う。また、同様に、方位測定に必要なループアンテナの回転操作も、管制器と同一の場所に設置した枠型空中線回転器により行う。
新年あけましておめでとうございます。
本年が皆様にとり幸多き年となりますよう、心より祈念申し上げます。
2023年 元旦
横浜旧軍無線通信資料館
土居 隆
この度、南足柄市在住のアマチュア無線家(JA1HVL)、茅沼完治殿より、以下の品々を当館に御寄贈頂きました。茅沼殿の御高配に、心より感謝申し上げます。
なお、茅沼殿は養蜂工房「ミツバチの大地」の運営主として知られています。
☆National HRO-5(構成コイル、ラックタイプSP付)
☆National HRO-50(構成コイル付)
☆Hammarlund Pro-310
☆Collins 75A-1
☆Collins R-388
☆Collins R-648(二台)
☆Drake 2B
☆スター SR-550
☆RCA Radiola-18(古典ラジオ)
上記の如く、御寄贈頂きました何れもが、無線機器収集家にとっては垂涎の品々で、誠に驚き、感激致しました。これらの品々は当館の所蔵資料として、研究、展示等広義に使用させて頂きます。
今般、標記レーダーを構成した2次電源装置を入手した。当館(横浜旧軍無線通信資料館)は之までタキ1号の構成機材を確認した事はなく、この度の入手は誠の驚きである。
先年当館は陸軍の機上用接敵レーダー「タキ2号」の送信機各種及び、機上索敵レーダー「タキ3号」の2次電源装置二台を入手した。今般の入手により、陸軍が開発した主要機上レーダー三種の構成機材を所蔵する事となり、誠に幸いである。
タキ1号は陸軍が1943年(昭和18年)に開発した航空機搭載用探索レーダーの1号機で、タキ3号の開発が最終段階で中止となったため、陸軍航空隊唯一の実用索敵レーダーとして終戦まで使用された。
タキ1号は1型(原型)より4型迄が開発されたが、原型は実験機的側面が強く、実用されたのは2型、3型であり、大戦末期に導入された4型により完成の域に達した。今般入手した電源装置は、米軍の写真資料より判断して4型である。本電源装置は先年入手したタキ3号の電源と比べ非常に大きく、容積は40x26x71cm、重量は約30kgである。
電源装置
タキ1号の1次電源は直流回転式交流発電機(入力24V)により構成され、出力は3相100V(750VA)、400Hzである。2次電源は交流式で、送信機、変調機、受信機/波形指示機他用により構成さている。高圧出力は送信機用が10,000V、パルス変調機用が3,000V、波形指示機ブラウン管用が約1,000V、受信機/波形指示装置他用が200Vで、各回路の整流は何れもがセレン整流器である。
陸軍機上用レーダーの開発
陸軍航空本部に於ける航空機搭載用電波警戒機(索敵レーダー)の研究開発は1942年(昭和17年)の初頭より始められた。当時既に海軍航空技術廠(空技廠)では同一目的の航空機用電波探信儀(H-6レーダー)の開発が最終段階にあったが、当時陸海軍相互の技術交換は低調で、タキ1号の研究は真空管の選定より始める様な状況であった。
同年4月、波長1.5m(200MHz)を使用した尖頭出力10kWの試作機が完成し、輸送機に装備して運用実験が開始された。当初本電波警戒機の索敵対象は航空機であり、標的にはフイリッピンで鹵獲したB-17爆撃機が使用された。しかし結果は不良で、目視できる同爆撃機の反射波さえ得ることが出来なかった(注)。
以後実験は継続されたが航空機の探知には成功せず、結局艦艇等を対象とした索敵レーダーとしての研究、開発が進められる事になった。
1943年(昭和18年)の初頭に量産型の原型が完成し、陸軍初の機上用レーダーは電波警戒機「タキ1号」として制式化された。以後実戦配備に関わる各種の実験が繰り返され、同年の暮れには100式重爆撃機への装備が始まり、1944年(昭和19年)3月からは4式重爆「飛龍」への配備も進んだ。
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タキ1号2型、3型諸元
用途: 早期警戒
周波数: 200MHz
繰返周波数: 1,000Hz
パルス幅: 5μs
尖頭出力: 10kW
2型空中線装置: 機首5素子八木1基、胴体両側面半波長ダイポール水平2列2段、送受兼用
3型空中線装置: 機首5素子八木1基、両翼4素子八木各1基、送受兼用
送信機: 発振管T-311( P.P.)
変調方式: パルス変調、変調管UV-211
受信機: スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅3段(UN-954 x3)、混合(UN-954)、局部発振(UN-955)、中間周波増幅4段(RH-4 x4)、検波(RH-4)、低周波増幅(RH-4)
中間周波数: 9.5MHz
帯域幅: 500KHz
利得: 100db
測定方法: 最大感度方式
信号表示: Aスコープ方式
掃引幅: 0-100km
測定距離: 潜水艦15km、大型艦50km、艦隊100km(高度1,500m)
測距精度: ±2km
測角精度: ±5°
電源: 直流交流変換器(入力直流24V、出力3相100V、750VA)
総重量: 150kg
製造: 日本無線
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タキ1号4型
本機は大戦末期に開発されたタキ1号の最終型で、運用周波数を200MHz帯より150MHz帯に下げ動作の安定を図った。構造は2型と殆ど同一であるが、構成真空管が大幅に変更された。また、重量も軽減され、中型機への搭載が可能となった。
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タキ1号4型諸元
用途: 早期警戒
周波数: 150MHz
繰返周波数: 1,000Hz
パルス幅: 5μs
尖頭出力: 10kW
空中線: 機首4素子八木1基、胴体両側面半波長ダイポール水平2列2段、送受兼用
送信機: 発振管T-319( P.P.)
変調方式: パルス変調、変調管T-307
受信機: スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅2段(UN-954 x2)、混合(UN-954)、局部発振(UN-955)、中間周波増幅5段(ソラ x4)、検波(ソラ)、低周波増幅2段(ソラ x3、最終段P.P.構成)
中間周波数: 10MHz
帯域幅: 500kHz
利得: 100db
測定方法: 最大感度方式
信号表示: Aスコープ方式
測定距離: 潜水艦15km、大型艦50km、艦隊100km(高度1500m)
測距精度: ±2km
測角精度: ±5°
1次電源装置: 直流回転式交流発電機、入力直流24V、出力3相100V/400Hz、750VA
2次電源装置: 高圧10,000V、3,000V、200V、低圧24V(1次入力電源共用)
総重量: 110kg
タキ1号による夜間雷撃
陸軍は1944年(昭和19年)初頭に海軍と締結した「陸軍航空部隊雷撃訓練等に関する覚書」に基づき、陸軍飛行第7戦隊、第98戦隊を海軍の指揮下に編入し、海軍の暗号書を用いた通信及び、洋上航法を修得させた。
これら部隊は海軍の指揮下、四式重爆「飛龍」に雷装し、台湾航空戦、沖縄航空戦、本土防衛戦を戦った。夜間雷撃戦は探索レーダー「タキ1号」を搭載した誘導機が索敵を行い、敵艦隊上空に照明弾を投下し、浮かび上がるシルエットに向け、電波高度計「タキ13号」を頼りに超低空を飛行する僚機が雷撃を敢行した。本作戦は参加機に洋上航法を支援する海軍の偵察員や操縦員も同乗するなどし、陸海軍が一体となった共同作戦であった。
掲示資料補足
組写真@、掲示は今般入手したタキ1号の電源装置である。
写真Aは電源装置の内部であるが、かなり空きスペースがある。高圧部10,000Vのコロナ放電を防ぐ手立てとも考えられる。
写真Bは米軍資料に掲示されたタキ1号の構成機材である。写真からして、送信機も入手電源と同等の大きさであったと考えられる。機上用としては相当な容積である。
写真C、掲示は先に入手したタキ2号、3号の構成機材である。
(注) 近距離で航空機の探知が困難であった原因は、地表からの反射波により、航空機よりの反射波が覆い隠されたためと考えられる。特に海上で顕著な「うねって変動する反射波」は「海蛇現象」と呼ばれた。
このため、各国で開発された接敵レーダーの探索、測定距離は、地表よりの反射波が受信されない自機の飛行高度範囲内であった。つまり、高度5,000mで飛行する索敵機の測定範囲は5km以内で、それ以上は地表の反射波に覆われる。
一方、遠距離にあっては、地表よりの反射波は暫時減少し影響は無くなるが、メートル波帯機上レーダーは空中線系の利得不足、低送信出力、解像度不良等のため、大編隊でも無い限りその探知は困難であった。
今般、42号電探の高角照準器(仰角測定器)を入手した。42号電探は海軍のメートル波帯の陸上設置型対空射撃管制レーダーで、標的の距離と併せ、方位角、高角を等感度方式により測定した。今日、帝国海軍の射撃管制レーダーに関わる構成機材を入手出来るなどとは、誠に信じられない事である。
42号電探
海軍技術研究所は緒戦に米国陸軍の射撃管制レーダーSCR-268を模倣し、対空射撃電探の1号機となる4号電波探信儀1型(41号電探)を開発した。メートル波帯機材については41号の開発を経て、42号電探により完成の域に達した。42号電探は探照灯管制用43号電探と共に抜群の成績を収め、以降本周波数帯に於ける対空射撃管制レーダーの開発は行われなかった。
入手照準器
当館(横浜旧軍無線通信資料館)は43号電探の波形選択器他を所蔵するも、42号電探については送信機の発振管TA-1504を所蔵するのみであり、今般の入手は誠に幸いであった。
当該照準器は回路構成部品に欠品は無く、原状を維持していた。しかし、波形表示用ブラウン管(CRT)BG-75A及び、信号増幅管PH-1が欠品していた。また、CRTの前面留金具及び、輝度調整器のツマミが欠落していた。
簡単な清掃を済ませ、早速所蔵のBG-75A及び構成管を装着した。欠品の輝度調整ツマミは、近日レジンにより製作を行う予定である。
なお、本機の容積は18x18x45cmで、重量は約10kgである。
照準器補足
42号電探に於ける方位角、仰角の測定は、等感度測定方式により行う。本目的のため、上・下(仰角)、左・右(方位角)測定用受信空中線が4基を装置され、対向する空中線2基は1/40秒毎に切替られる。
高角照準器では、上・下空中線で受信された標的の反射波が、CRTの中央に間隔を開け、左右二本の縦線として表示される。仰角測定担当は制動ハンドルにより空中線の仰角を可変し、表示2波形の振幅が等しくなる「等感度」位置を求め、追尾を行う。
表示2波形の振幅が一致した位置で空中線は標的に正対し、空中線の傾きにより標的の仰角を精密に測定する事が出来る。また、方位角の測定原理も同一である。参考資料として等感度測定方式を概観した「方位角等感度測定概念図」を掲示した。
42号電探緒元
用途: 陸上用射撃管制
設置場所: 防空砲台
有効距離: 編隊40km、単機20km
周波数: 200MHz帯
繰返周波数:1,000 Hz
パルス幅: 3μs
送信尖頭出力: 13kW
送信空中線: 複合八木型2x4
受信空中線: 複合八木型2x4
送信機: 発振管TA-1504 /LD-209(P.P.) x2
変調方式: パルス変調、変調管TB-508C x2(並列)
受信機: スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅2段(UN-954x2)、周波数混合(UN-954)、局部発振(UN-955)、中間周波増幅6段(RH-8 x6)、検波(RH-8)、低周波増幅2段(RH-8、PH-1)
信号表示: Aスコープ方式
測定方法: 等感度方式
距離精度: 50m
方位角精度: ±1゜
仰角精度:± 1゜
電源: 3相200V交流電源
重量: 5,000kg
製造: 住友・日本音響・日立・日蓄、約60台
掲示資料補足
組写真@は今般入手した42号電探の高角照準器である。
写真Aは42号電探を背後より撮った写真である。
資料Bは等感度測定方式の説明概念図である。
写真Cは清掃後BG-75Aを装備した高角照準器である。輝度調整用ツマミ及び、CRTの前面覆いが欠落している。
なお、42号電探の装置概念図、入手照準器の細部写真他について以下のFacebookに掲示を行った。
https://www.facebook.com/groups/1687374128228449
先日、期せずして、米国National製の初期型短波受信機SW-3、SW-4、SW-5を入手した。これらは同社のHRO受信機以前の製品で、何れもが再生・オートダイン検波のストレート式である。
入手受信機の程度は非常に良好であるが、これらの内、SW-5はコイルが欠品しており、撮影は構造が同じSW-3のコイルを装着して行った。
なお、受信機の型式「SW」は短波機材を指し、続く数字は構成真空管の数を表している。このため、型式は各機の導入順位とは関係がない。
SW型受信機の系譜
1927年頃よりNational社は一連の短波受信機SW-2、3、4、5他を暫時発売したが、当初2球式、3球式は単にThrill Boxと呼ばれ、4球式がSW-4 Thrill Boxと標記された。
各機は高周波増幅付の再生・オートダイン検波方式で、何れの受信機も同調コイルはプラグイン構造の差替式である。同調機構はSW-2〜4が変則のバーニャ構造で、SW-5は糸掛式であり、各機の周波数は置換表により読み取る。
各機概観
SW-2
Nationalが最初に発売したのは2球式のSW-2である。本機は高周波増幅、再生・オートダイン検波構成で、2.5-20MHzを4バンドで受信した。何故か低周波増幅回路は具えて居らず、出力は検波管の陽極回路に負荷抵抗として受話器を直列に接続し、取り出した。
高周波増幅段は直熱式四極管222で構成されているが、入力回路は高周波チーク(RFC)で代用した非同調方式であり、その主要用途は検波回路が発する輻射波の抑圧である。検波回路は直熱式三極管112Aで構成され、再生帰還量の調整は陽極電圧可変方式である。
SW-4
次に販売されたのが、4球式のSW-4である。本機は高周波増幅、再生・オートダイン検波、低周波増幅2段構成で、1-16.6MHzを6バンドで受信し、構成管は直熱式である。
高周波増幅段はSW-2と同様に四極管222で構成され、入力回路も同一のRFCによる非同調方式である。検波回路は三極管200Aで構成され、再生帰還量の調整は陽極帰還コイルに付加されたQダンプ用抵抗器を可変して行う。同調蓄電器は変則の二連構成で、低周波数帯域では付加されたスイッチにより、蓄電器の容量を増加させ使用する。
低周波増幅回路は1段部が三極管240で、2段部は三極管171Aにより構成され、出力側に変成器付きのスピーカーを接続する。
SW-5
1929年に五球式のSW-5が発売された。本機は高周波増幅、再生・オートダイン検波、低周波増幅2段構成で、0.6-33MHzを9バンドで受信する。また、アマチュア無線家用に、3.5、7、14MHzのハムバンド拡大用コイルが別売された。
本機の高周波増幅段は傍熱式四極管235で構成され、漸く回路はL・Cによる同調構成となった。検波回路も235で構成され、再生帰還の調整は、検波管の遮蔽格子電圧可変方式である。各段の同調蓄電器は二連構成で、また、空中線入力回路には補正蓄電器が装置されている。
低周波増幅回路は一段部が傍熱式三極管227で構成され、2段部出力回路は直熱式三極管45二本によるP.P.構成である。受話器は一段部の出力側に接続する。
SW-3
本機はパンナムの、南米航路を飛行する飛行艇への搭載を考慮し設計された通信型受信機で、導入は1931年である。用途を考慮し、同調コイルには従来の湿気に弱いベークライト製ボビンに替え、マイカ粉末を高電熱で処理したQの高いモールド製ボビンが採用された。
SW-3は高周波増幅、再生・オートダイン検波、低周波増幅1段構成で、差替え式コイルにより0.15-33MHzを10バンド受信する。併せ、SW-5と同様にハムバンド拡大用コイルが販売された。
本機の原型は線條電圧2.5Vの傍熱管により構成された。高周波増幅、検波回路は四極管35により構成され、検波段の再生帰還量の調整は、検波管の遮蔽格子電圧可変方式である。各段の同調蓄電器は二連構成で、また、空中線入力回路には補正蓄電器が装置されている。
低周波増幅部は三極管27により構成され、低周波出力は陽極回路に負荷抵抗として受話器を直列に接続して取り出す方式である。
1935年3月にHROの原型が販売されたが、同時期、改良型のSW-3 U型が導入された。本機は線條電圧6.3Vの傍熱管により構成され、アマチュア無線家の間で大好評を博した。以降、構成や、構成管が異なるSW-3各型が導入され、1940年頃まで生産が続けられた。
掲示写真補足
組写真@、掲示は今般入手した受信機3台である。左側の下はSW-4、上部に載っているのがSW-3のコイルセットである。右側下部はSW-5、上がSW-3である。
写真AはSW-4の内部である。
写真BはSW-5の内部で、同調機構がSW-4とは異なる。
写真CはSW-3と構成コイルである。
昭和19年4月は、戦争末期で敵の我が本土上陸が必至、これを迎撃すべき陣地構築が始まろうとしていた。
その最先端の砲座等各部署を指揮する手段は 有線電話が構築に合わせて敷設されていたが、
戦闘が開始されれば爆撃、砲撃により埋設をしてあっても電線は破壊される不安がある。
無線によって指揮通達を二重系とし、確実化する。『全波受信機』はそのためのものと考える。
さらに進めて高声機能を付加し、即時一斉伝達を可能にした。
緊急策として作られた受信機だ。そうでなければ、敵の謀略放送の受信も出来る『全波受信機』の配置は不適当!
当時私の居た相模湾は敵の本土上陸作戦が必須想定の場所で、熱海と藤沢で砲台連絡用トンネル堀に数回動員された。
既に有線電話が開設されていて責任者が開始、休憩、終了、分隊間の交代等の指令を受けてメガホンで伝達していた。
この電話回線は陣地完成後も利用するが、確実とは言えない!
(余談)掘削成績が良くて所属分隊は、少佐の隊長から褒められた。
『全波受信機』は、放送受信機である。通信兵でなく、一般兵にも操作できる『ラジオ』だ。
敵による電波攪乱を想定して全波とした!
指令側は放送機で、数ワット〜数十ワットのA3送信機を別途製造したが規格化するほどの数ではかっただろう?
旧来のA1送信機を予備的に使用を考慮して、受信機にVFOが付加したものか?
>> |
全波受信機を推測する
名前: 事務局員
[2022/11/09,10:34:14] No.9484
安原様 |
先般大量に入手した旧軍機材の中に、海軍の「全波受信機」(製造昭和19年4月)が含まれていた。入手時本受信機は前所有者により修復途上であったが、今般当館(横浜旧軍無線通信資料館)の技術調査員である安齊穗積君により完全に修復され、動作状態に復帰した。
本受信機は高周波増幅1段、中間周波増幅2段、低周波増幅2段のスーパーヘテロダイン方式であるが、驚くことに、低周波増幅二段部(UZ-41P.P.構成)を除く各部はマツダの五極管RC-4により構成されている。事務局員が知る限り、RC-4を使用した機材は本受信機及びその改修型である「試製全波受信機」の二種で、それ以外で確確認されたことはない。
海軍「全波受信機」諸元
受信周波数: 500-22,000kHz(6バンド)
電波型式: 電話(A3)、変調電信(A2)
構成: スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅1段、第1検波、中間周波増幅2段、第2検波(陽極検波)、低周波増幅1段、低周波増幅2段(UZ-41P.P.構成)、AGC機能無し、電信(A1)復調機能無し、構成管RC-4八本、UZ-41二本
中間周波数: 450KHz
電源: 線條電圧100V、高圧100V/200V選択式
製造: 高梨製作所
構成管RC-4
本管の外観構造は一見、日本無線が独逸テレフンケン社の万能五極管RV12P2000を参考に開発したRE-3に類似している。しかし、線條電圧はRE-3の12Vに対し6.3Vで、全長(除引出ツマミ)も62mmと大分長い。ステムはボタンステム構造で、サイドコンタクトを別にすれば、真空管としてはMT管である。
RC-4の規格についてはハッキリしないが、CQ誌創刊号に記載された「戦時中現れた国産真空管特性一覧表」にはgm3000μ℧と記されている。同時期に開発されたソラのgmが2000μ℧であることから、当時としてはかなりの高gm管である。試しに安齊君が三極管構成のgm測定回路を作成し実測したところ、値は大凡3000μ℧を示し、前述のgm規格と一致した。この数値は、6BA6よりも若干低い値である。
海軍「全波受信機」
本受信機は10年程前Net auctionに出品されたが、事務局員は二番札で入手出来なかった経緯がある。落札者は高い修復技術を持ち、受信機をバラバラにし、構成部品からの修復を進めたが、高齢により作業が中断し、他機材と合わせ当館が譲り受ける事になった。
ところで、「全波受信機」は誠に不思議な受信機で、高周波増幅1段・中間周波増幅2段・低周波増幅2段の上級構成にも拘わらず、電信復調用のBFO機能を具えていない。また、低周波増幅二段部は出力管UZ-41のP.P.構成で、出力端子には「拡声器」と表記されている。つまり、本機は500-22,000kHzの放送受信用で、用途は多人数による共同聴取と言うことになる。
海軍「試製全波受信機」
「全波受信機」のAuction後暫くして、驚いた事に、懇意の道具屋が本受信機と構成が殆ど同一の、「試製全波受信機」なる機材を入手してくれた。この受信機はジャンクで、構成各部はRC-4と共に手つかずで残っていたが、前面パネルとツマミ等の付属品及び、ギヤ構成の同調機構が失われていた。しかし、何故か同調目盛板は紛失しておらず、板上には「試製全波受信機」(19年11月)との表記があった。
本受信機の構成は「全波受信機」に相似するも、BFO機能が付加され、このため構成管は11本と成っている。「試製全波受信機」の製造は「全波受信機」と比べ新しく、各部の構造も簡素化が進んでいる。このため、「試製全波受信機」は汎用性を考慮し、「全波受信機」にBFO 機能を付加し、通信用受信機への転換を図ったものと考えられる。
なお、「試製全波受信機」については安齊君により修復が進められており、既に前面パネルや銘板等は複製され、同調機構についてもプーリー式の暫定装置が組み込まれた状態となっている。
掲示写真補足
写真@、掲示は修復が完了した海軍「全波受信機」である。
写真A、掲示は「全波受信機」を構成するマツダのRC-4と関連真空管である。
写真B、掲示左は修復済みの「全波受信機」、右は修復を待つ「試製全波受信機」である。
写真C、掲示は修復途上にある「試製全波受信機」である。
この度米国のアマチュア無線家Bob Ross殿(W1HJT)より以下の品を御寄贈頂きました。
帝国陸軍「練習用送信機(206号型送信機)」一式、オリジナル木箱入
氏は5年程前に当館に来館された経緯があります。
Bob Ross殿のご高配、ご協力に心より感謝申し上げます。
206号型送信機
本機は出力約0.3Wの小電力送信機で、出力を調整し、実戦に即した通信訓練に使用されました。
206号型送信機緒元
用途: 受信訓練用
運用周波数: 400-6,000KHz(5バンド)
電波型式: A1(電信)、A2(変調電信)、A3(電話)
送信出力: 約0.3W
機材構成: 水晶又は自励発振UY-11A(5極管但し3極管接続)、陽極変調UY-11A(3極管接続)
空中線: ロッド式、ワイヤー式
電源: 内部乾電池又は外部電源、使用乾電池低圧1.5V(平角3号1本)、高圧90V(B18号4本直列接続)
製造: 高梨製作所(昭和18年6月製)
Donation by Mr. Bob Ross
Following item has been donated to the Yokohama WW-2 Japanese Military Radio Museum by Mr. Bob Ross who is an amateur radio operator (W1HJT) in the United States.
A set of the Imperial Japanese Army's “Training Transmitter (Type 206 Transmitter)” in original wooden box
He visited our museum about five years ago. I really would like to express my sincere gratitude to him for his kindness and cooperation.
Type 206 Transmitter
This set was a low-power transmitter with the output of approximately 0.3 Watt, and was used for communication trainings based on actual combat by adjusting the transmission output.
Specifications
Purpose of use: for radio reception trainings
Operating frequency: 400-6,000 KHz (5 bands)
Radio wave type: A1 (telegraph), A2 (modulated telegraph), A3 (telephone)
Transmission power: about 0.3 W
Equipment configuration: crystal or self-oscillation of UY-11A (pentode but triode connection), anode modulation by UY-11A (triode connection)
Antenna: Rod type or wire type
Power supply: internal batteries or external power supply, dry battery of low voltage 1.5V, of high voltage 90V
Manufacturer: Takanashi Seisakusho (Made in June 1943)
先般国内のNet Auctionで陸軍航空部隊の機上用「飛」各型(除99式飛4号無線機)を構成した吸収型周波数計の、収容筐を落札した。この周波数計は汎用型で、陸軍航空部隊の短波機材の全てに付加されたと考えられる。当館は本周波数計の本体及び同調コイルを所蔵しており、収容筐の入手により、漸く装置一式が揃うことになった。
本吸収型周波数計は測定器本体及び、付属のコイル二本により構成されている。測定周波数は2.5-15MHzで、同調表示はランプ点灯方式である。本体には2周波数帯の同調ダイアル指示値/周波数の置換表が添付され、使用は同調コイルを送信機の発振コイルと結合させ行う。
94式機材(昭和9年-1934年制定)以降、陸軍航空部隊の機上用無線機を構成した送信機は水晶制御方式であった。このため、本周波数計は殆ど使用の機会が無かったものと考えられる。尤も、これら送信機は水晶片を取り外すと自励式送信機として動作し、この場合は周波数の測定が必要である。しかし、大正期とは異なり、この時代に有っては、吸収型周波数計で実用の運用周波数を確定することは出来ない。
99式飛2号無線機諸元
用途: 中距離航空機
通信距離: 500km
周波数: 送信2,500-13,000KHz、受信1,500-15,000KHz
電波型式: 電信(A1)、変調電信(A2),電話(A3)
送信機: A1出力30W、A2・A3出力15W、水晶発振UY-807A、陽極変調UY-807A
受信機: スーパーヘテロダイン方式、高周波増幅2段、中間周波増幅1段、低周波増幅2段(Ut-6F7 x5)、AGC機能付
中間周波数: 450KHz
電源(送受兼用): 入力24V直流変圧器
空中線装置: 逆L型固定式、柱高0.8m又は垂下式、地線は機体接地構成
99式飛2号無線機補足
99式飛2号無線機は96式飛2号無線機の実質的継機で、軽爆撃機や偵察機、輸送機等に装備された中距離用の通信機材である。無線装置は96式飛2号無線機と同様に、一体型ケースの下段に送信機が、上段に受信機が収容され、送受信機はケース内部背面の接線により一体化され、電源は装置の左側面底部より供給される。収容ケースの容積は22x34x16cm(除前面枠)で、重量は12kg、無線装置は緩衝用ゴム紐を介し、機体に設置した専用の懸垂架に装着された。
99式飛2号無線機の構成、構造は遠距離用機材である99式飛1号無線機に類似しているが、本機の特長は、送信機が全運用周波数帯の同調を一挙同で行う可変インダクタンス式同調機構を内蔵し、空中線同調にπ型同調回路を採用している事である。
また、本機は電話通信機能に優れ、其の性能は単座戦闘機用の電話機材である99式飛3号無線機と同等であったと考えられる。飛2号の搭載予定航空機は中距離用航空機であり、主に軽爆撃機等に搭載されたが、電話機能の充実は作戦に於ける編隊内の通信を考慮したものとも考えられる。
大戦末期になり、侵入するB-29爆撃機を迎撃した複式戦闘機「屠龍」は99式飛2号を搭載し、対地通信に電話機能を多用した。本機の運用形態はA1・A2がブレークイン方式で、A3が変則(電鍵操作)のプレストーク方式である。
事務局員はFacebookで自身のページと、友人と共に「旧日本軍無線機etc.」を運営している。
従来FBは会員登録をしないと閲覧が出来なかったが、先般仕様が変更となり、公開ページは未登録でも、誰もが閲覧出来るようになった。
最近当館は活動周知の軸足をFBに移しており、ついては、興味のある方はお訪ねを願いたい。
FB事務局員
https://www.facebook.com/doi.takashi.71
FB旧日本軍無線機etc.
https://www.facebook.com/groups/1687374128228449/
先般Facebook「WWII German Signals and Communications Equipment」のメンバーとなり、ドイツ軍無線機材に関わる資料の収集や、所蔵機材のUPなどを行っている。
このFBに先日、ドイツ軍のテレフンケン社製ハンドマイクの写真が投稿され、誠に驚くことになった。当該マイクは帝国海軍の汎用マイク(海軍型マイク)と同一構造で、この投稿により小生は本品がテレフンケン社製品の複製であることを初めて知った。
海軍型マイクはカーボン式で、海軍艦艇用無線機材や大型航空機に搭載された96式空4号無線電信機等に使用されたが、グリップ部が木製のため、小生は疑わずして本品は海軍のオリジナルと考えていた。
模倣品関連で話は若干それるが、帝国陸海軍はテレフンケン社製の汎用受話器Dfh.h型の複製である「テレフンケン型」受話器を使用していた。しかし、先般大量に入手したドイツ軍無線機材の中に、Dfh.h型とは構造が若干異なる高級型受話器が複数含まれていた。
この受話器はDfh.b型で、構造はDfh.f型と比べ非常に重厚で、復調音域もDfh.h型と比べ広いように感じられた。写真でよく見る、ドイツ軍戦車の車長が装備している大型受話器は、このDfh.b型に大きな耳当てを付加した構造と考えられる。
ドイツ軍、帝国陸海軍を問わず、当時の汎用受話器は用途からして電信受聴用で、その最良復調周波数は900-1,000Hzと考えられる。このため、音声通話には必ずしも適してはおらず、Dfh.b型はこれを補足する広帯域型受話器で、主に音声通話、放送受信用等に使用されたと推察される。
先の大戦に於いて広帯域型受話器の開発は時代の要請で、帝国陸海軍は水中聴音機等、水中音響兵器に使用するこの種の受話器を必要としていた。海軍電気技術史第6部「水中音響兵器」・13節「受話器の研究」には、これら受話器に関し以下の記述(要約)がある。
「撃墜したB-29の無線機用可動鉄片型受話器(ANB-H-1A?)を入手し調査をした結果、極めて優秀な物であったので、これを参考に電気試験所で設計し三菱電機大船工場に試作を依頼した。理想的には一層良好な永久磁石と導磁率の大きな振動鉄板材料を必要としたので、この研究を仙台の航空電気研究所に依頼した。しかし、何れも結果を得ずして終戦となった。」
なお、参考資料として帝国陸軍の上級機材用電鍵の写真を併せ掲示した。この電鍵は構造から、明らかにドイツ陸軍型電鍵の模倣品である。しかし、模倣した電鍵は、ドイツのメーカーが他国製品を参考に開発したとの説もあり、話は若干複雑である。
掲示資料補足
写真@、掲示はドイツ陸軍のテレフンケン社製ハンドマイクである。
写真Aは帝国海軍のハンドマイクで、構造はテレフンケン社製マイクと同一である。
写真Bはドイツ軍の受話器二種で、左が広帯域型である。帝国陸海軍が導入したのは右のh型で、国内では「テレホンケン型」と呼称された。
写真C、掲示左はドイツ陸軍の野戦用電鍵で、右は帝国陸軍の汎用型電鍵である。