-(188 KB)先日、国内のNet Auctionで「同期用空中線部品運搬箱」なる木箱を入手しました。本品は陸軍の衝撃波(パルス)式対空監視用レーダーの1号機「超短波警戒機乙要地用(タチ6号)」を構成する同期受信用受信機の空中線部品収納箱です。収集品としては誠に地味ですが、陸軍の電波兵器に関連した品は稀少なため、参考資料として入手しました。
なお、当館が所蔵する陸軍レーダーの関連製品(除真空管)はタチ6号の主受信機「要地用超短波警戒機・試製二二九号4型受信機」の銘板ただ一枚で、誠にお恥ずかしい限りです。
同期用空中線
タチ6号は早期警戒用の対空監視レーダーで運用周波数は65-83MHzの一波、送信尖頭出力は50kw、測定有効距離は編隊に対し約200km、陸軍の主要電波警戒機として大凡350台が生産され、内外の要地で終戦まで使用された。
本装置は送信所と受信所に分かれたバイスタテックス方式で、送信所は送信装置及び無指向性又は有指向性空中線を装備し、受信所は受信装置及び回転式空中線で構成され、必要に応じ2-4箇所が送信所の周囲数百mに配置された。このため、各受信所は送信所よりの輻射波を副受信機で直接受信し、同期用信号を得ていた。「同期用空中線」は本副受信機に使用する空中線で、半波長ダイポール及び反射器により構成されていた。
写真補足
館内に展示した同期用空中線部品運搬箱、サイズは82X32X37cmとかなり大きい。当座は電波兵器の真空管保管箱として使用の予定。上に乗っているのは海軍「仮称電波探知機」E-27(逆探)の交流電源。
-(88 KB)掲示はタチ6号の取扱説明書「要地用超短波警戒機受信装置説明書」に掲載されている同期用受信空中の構成図である。本空中線は半波長ダイポール及び反射器により構成され、送信所に向け固定設置された。この度入手した運搬箱には支柱やブーム等の木材を除く、同期用受信空中線の構成部品が格納されていたものと推測される。
なお、本空中線を使用する副受信機には副受信機甲、乙の二種類があり、甲は高周波増幅2段、中間周波増幅4段のスーパーへテロダイン方式、乙は高周波増幅1段のストレート方式であった。
タチ6号諸元
用途: 対空早期警戒
周波数: 65-83(68,72,76,80)MHz
繰返周波数: 500又は1,000Hz(切替式)
パルス幅: 10-70μs
尖頭出力: 50kw
送信空中線A: 箱形、無指向性、固定式、利得7
送信空中線B: 交差V型ダイポール反射器付、4-6段、固定式、地上高27m、利得15
送信水平ビーム: 90-120°(空中線B)
主受信機用空中線: 半波長ダイポール水平4列2段、反射器付、回転式、地上高9m、利得20
受信水平ビーム: 20-30°
副受信機用空中線(同期空中線): ダイポール型、反射器付
送信機: 発振管TC-579B (P.P)、電力増幅管TR-594A( P.P.)
変調方式: パルス変調、変調管UV-211A x2(並列)
主受信機: Wスーパーヘテロダイン方式、高周波増幅2段(ME-664A x2)、第1混合(ME-664A)、第1局部発振(ME-664A)、第1中間周波増幅2段(MC-658A x2)、第2混合(MC-658A)、第2局部発振(Ut-6F7)、第2中間周波増幅4段(MC-658A x5、最終段P.P.構成)
中間周波数: 第1中間周波14MHz、第2中間周波4MHz
帯域幅: 500-700KHz
利得: 120db
副受信機甲(同期用受信機): 高周波増幅2段(ME-664A x2)、混合(ME-664A)、局部発振
(ME-664A)、中間周波増幅4段(MC-658A x2)
副受信機乙(同期用受信機): ストレート方式、高周波増幅1段、検波、低周波増幅2段
測定方法: 最大感度方式
信号表示: Aスコープ方式
掃引幅: 0-150km、0-300km
測定距離: 編隊200km
測距精度: ±5-10km
測角精度: ±5°
電源: 3相170-220V、10kVAディーゼル発電機
総重量: 10,000kg
製造: 住友
製造台数: 約350台
-(76 KB)この度、当館の学術調査員委託である山本健氏が「濾波継電器」を入手しました。当該継電器は森田昭夫氏と共にソニーを創業した井深大氏が技術担当常務を務めていた日本測定器株式会社の製品で、類型が海軍の航空機用磁気探知機「3式1号探知機」に使用されました。このため、本継電器は「井深氏が海軍のために開発した継電器」として、氏にまつわる話によく登場します。
濾波継電器の構造
本継電器は永久磁石と励磁コイル、特定の低周波数に共振する振動舌片(リード)及び接点により構成され、リードの長さにより共振周波数を選択することができる。掲示の継電器には「1200〜」の表記が有るため、コイルに加圧される1200サイクルに共振し動作するものと考えられる。濾波継電器は機械的共振を利用するため選択度が高く、各低周波を20〜30サイクル間隔で分別でき、電気式低周波フィルターと比べ非常に狭帯域での信号選択が可能である。
なお、3式1号探知機では本器を周波数選択継電器としてではなく、直流増幅器の入力信号を750サイクルで振動切替(変調)するチョッパーとして動作させ、形状も掲示の継電器とは若干異なっている。
濾波継電器の応用
本継電器は有線・無線による遠隔制御、有線電信機の秘話通信等への利用が考えられるが、「航空技術の全貌」(日本出版協同株)第7章「航空通信及び航空電波兵器」(元海軍技術大佐有坂磐雄)P-265には航空技術廠が戦前に開発した対空射撃訓練用の無線操縦標的機について以下の記述がある。「之に用いられた受信機は高周波1段付水晶制御スーパーへテロダインで、中間周波は630キロサイクル、出力は3個の低周波選択継電器に接続され、電動操舵装置に連結されている」文中の「低周波選択継電器」とは濾波継電器を指すものと考えられ、既に戦前の無線操縦に本式の継電器が使用されていたことが覗える。
本継電器の原理を応用し、昭和40年頃には多低周波信号を一つの継電器で選択できる「リードリレー」がマルチ・チャンネル方式のラジコン用に開発された。このリードリレーはハーモニカの振動子と同様の、長さの違う複数のリードを電磁石の上に並べたもので、受信される低周波信号(トーン)に該当するリードが共振して振動し、接点を介し補償された直流信号が制御器を動作させるマルチトーンデコーダであった。
写真補足(左下)
左の円筒が励磁コイル及び振動リード収容部。頭部の金物でリードの長さを可変し、共振周波数を微調整できる。中央が振動接点。右の1200〜と表記された箱の内部にバイアス用の永久磁石が装置されている。
-(176 KB)3式1号探知機は海軍航空技術廠(空技廠)支廠計器部が開発した航空機搭載用の潜水艦磁気探知機である。本装置は大凡伊号潜水艦を150mで、呂号を120mで探知することが可能であった。
実際の捜索は、探知機を搭載した3〜6機の哨戒機が約100m間隔で高度10-50mを飛行して行い、装置が潜水艦よりの磁気信号を選択探知すると警報が発せられ、海面着色用の目標弾が自動的に発射された。
開発の経緯
昭和17年の春、空技廠において航空機による敵潜水艦制圧についての会議が行われ、支廠計器部は磁気的にこれを探知する方式(KMX)を提案した。本式は潜水艦による地球磁場の歪みを飛行機に装備した線輪(捜索コイル)により検出しようとするものであるが、潜水艦の磁気量、飛行機の動揺に於ける測定への影響、妨害電圧の抑制等々未知、未解決の問題が多くあるため、兵器としての可能性を至急研究調査することになった。
7月10日に部内各方面の権威者を集めて航空機用磁気探知機の可能性に関する研究会が開催され、計器部が提示した探知原理、構造の概要、性能の見込等について検討が加えられた。本式の効果について否定的な意見もあったが、磁気探知機を航空機に装備した場合には艦艇装備の探知機より潜水艦に対する関係移動速度が大きくなり感度の向上が望めること、所要地点への到着が迅速で捜索範囲が広い等の利点が考慮され、実験に着手することになった。
同時期、技術研究所電気部は艦艇装備用の磁気探知機「Y装置3型」を開発中で、本機は船体の前部、後部に磁気探知用の捜索線輪を水平に設置し、船の動揺による誘起電圧(雑音)を互いに補償して打消す多線輪方式であった。しかし航空機は艦艇と比べ線輪の設置場所が極端に制約されるため、KMXでは単線輪を転輪安定装置(ジャイロスコープ)に取付け、空間に対し水平を保つ方法が採用されることになった。
昭和18年1月に直径50cmの空心に10,000回の巻線を施した捜索線輪を、直径50cmのジャイロ(空気駆動式、約6,000回転/分)に取り付けた実験用試作装置が完成し、これを1式陸上攻撃機に装備して、小型艦船を直上約90mで検知することに成功した。本基礎実験により航空機による磁気探知の可能性が実証され、兵器化に向け装置の小型化が進められた。特に捜索線輪は小型航空機にも搭載が出来るように超バーマロイ鉄心(高透磁材)を使用した2分割構造とし小型化が計られ、ジャイロの上部、下部に取付けられた。併せ増幅器、標示器等の研究も進み、6月には概ね兵器の形態を備えた試作装置数組が完成した。
昭和18年7月頃より11月頃まで横須賀航空隊で本試作磁気探知機の機上実験が行われ、結果呂号潜水艦は直距離100mでの探知が可能であることが確認された。本実験終了時の打合会議に於ける所見は「探知距離僅小にして用兵的価値高からずも潜没潜水艦探知可能なる現今唯一の兵器なるを以て戦局に鑑み之を供することとす」と結論ずけ、本装置の兵器化が確定した。
実戦配備
本機材には「3式1号探知機」の名称が付与され、昭和18年10月頃より量産体制に移行し、19年4月頃から実施部隊への本格的配備が開始され、97式艦上攻撃機、零式水上偵察機、96式陸上攻撃機等に装備された。
19年3月頃、早くも先行配備の部隊より敵潜水艦確実探知の報告があり、8月下旬から9月中旬までが本探知機の最高活躍期となった。特に比島方面で901空の探知機搭載機が大きな戦果をあげ、感状を授与されるに至ったが、この時期以降制空権が逐次失われ、探索飛行は大幅に制限を受けることになった。
写真補足
一体となった3式1号探知機、上部が標示器、下部が信号増幅器。増幅器前面中央が信号出力計、中段右端の四角い蓋内部に濾波継電器が装置されている。下段左より信号入力端子、感度調整器、平衡調整器(雑音除去)。表示器上部左より電源電圧計、警報表示燈、雑音消去指示器、下段左より受話器端子、電源切替器、右端不明。
写真出典: 続日本無線史第9章「製造及び工事」
-(72 KB)本探知機はジャイロ装備捜索線輪、濾波器、増幅器、標示器、目標弾発射管制器、電源装置、補償線輪等により構成され、総重量は約70kgである。掲示は米海軍調査資料(注)に掲載されている本機の装置概略図であり、これを基に主要装置を以下で概観する。
ジャイロ付捜索線輪(Search Coil)
磁気探知用の捜索線輪は軸を大地に垂直に保ち、機体の動揺による磁気への悪影響を防ぐためジャイロの上下に2分割し取付けられており、装置は遮風覆で保護されている。ジャイロの回転体直径は130mm、駆動は400サイクル交流電動機、回転数は19,500±1,500/分で、重量は約2kgである。
捜索線輪の巻線は0.1mmエナメル線160,000回(上下合計)で抵抗値は15,000Ω、鉄心は超バーマロイ、上下各々直径5mm、長さ250mmで、外側に雑音除去用の補償受信線輪が併せ巻かれている。線輪各部はあらゆる方面の加速度に対して僅かの歪みも生じないように配慮され、線輪ボビンは金属製で丈夫な筐体に固定され、巻線はバニスで固められている。
補償線輪(Compensating Coil )
本線輪装置は補償発信線輪(Compensating Coil A)及び捜索線輪上に巻かれた補償受信線輪により構成されている。機体を構成する金属板が地球磁場内で動揺すると外板中に渦電流が発生し、捜索線輪に大きな雑音を誘起する。このため、補償発信線輪を機体に固定し、発生する渦電流を補償受信線輪に導き、捜索線輪に誘導された渦電流を打消す。
濾波器(Filter)
本器は各種装置より発生する誘起電圧が捜索線輪に影響をあたえることを防ぎ、信号対雑音比を向上させる目的で装備されている。対象となる主雑音はジャイロ動力からくる滑周波数、駆動用3相400サイクル雑音、コマの回転に伴う衝撃的雑音等である。濾波器の構造はπ型でインダクタンスは約4,600H、コアはセンダスト合金である。実際に高速で飛行する機上で検知される磁気信号の周期は1秒を超えることはない。このため信号対雑音比を高くするため本濾波器の遮断周波数は1.2サイクルで、10サイクルに於いて約55dbの減衰を与える。
増幅器(Amplifier)
航空機で探知される潜水艦よりの磁気は僅かに1、2回の起伏で終わる数μVの信号で、しかもその周期は1〜2秒という長いものであるため極めて感度の良い直流増幅器が必要となる。このため本増幅器は1〜2サイクルの磁気信号を振動式継電器(濾波継電器)により750サイクルで断続(変調)した後、低周波3段増幅を行う。本増幅器の利得は137db以上である。増幅器の構成真空管は6Z-AM1(初段増幅)、UZ-6C6(2段増幅)、UZ-6C6(3段増幅)及び、濾波継電器ドライブ用の750サイクル発振管UZ-6C6の計4本である。なお、資料によると6Z-AM1は本装置の為に開発され、特性はUZ-6C6をアンチマイクロフォニック化した低雑音管である。
標示器(Target Indicator)
本器は信号受信、警報燈点灯、後続機器への信号伝達を目的とし、その機能は以下のようなものである。
(1) 入力信号波形の受聴
(2) 検波出力より定常な雑音を消去した後、時限継電器回路を動作
(3) 警報燈を点灯、出力を後続の目標弾自動発射器に伝送
受聴回路は正帰還により音量に二重伸張を与え信号波形の特異性を強調しており、この受聴は実際上誤認を極めて少なくした。受聴器は捜索線輪への影響を考慮し、クリスタル型が使用された。時限回路は信号対雑音比向上の最後の技巧で、誘起される磁気信号は1〜2秒であるため、この間に終始する信号のみが選択、警報され、自動機器が作動する。本器の構成真空管はUY-76(検波、2極接続)、UY-76(信号増幅)、UZ-6D6(可聴用信号増幅)、UY-76二本(時限継電器回路)の計5本である。
目標弾発射管制器(Buoy Release Control)
選択信号の受信と共に目標弾(海面着色剤)を自動的に発射する。この場合飛行機速度を打消すため、目標弾は後方に向け発射する。
電源(Power Supply)
増幅器、標示器用の直流発電機(Generator)とジャイロ駆動用交流発電機(A.C. Motor Generator)の2種があり、共に機上電源12Vを動力源としている。
(注) U.S. Naval Technical Mission To Japan Electric Targets、E-14 Japanese Magnetic Airborne Detector
-(62 KB)掲示は米海軍調査資料(注)に掲載されている3式1号探知機の3座機に対する装置設置概略図である。
配置状況
本図最後部席が磁気探知機操作席で、探知機増幅器、表示器は二段重で操作員前面のラックに緩衝用ゴム紐で垂下固定され、電源開閉器、補償調整器、発射管制器等はその両側に配置されている。また、装置構成の電源類は捜索線輪への悪影響を防ぐため、中部偵察員席に設置されている。
探知装置で最も重要なジャイロ付捜索線輪は磁気の影響が少ない後方の胴体中央に配置され、運用時は操作員がクランプを解除する。また捜索線輪補償用の補償送信線輪は捜索線輪の更に奥、機体尾部近くに設置されている。
機体装備
本磁気探知機を機体に装備する場合は、大凡磁気を発生し又は磁気の均一性を乱すものには十分注意する必要があった。特に捜索線輪は敏感で、接近して小さな鉄片も置くことが出来ず、これから遠く離れた場所であっても大きな鉄片には注意が必要であり、操作員の受話器にはクリスタル型が使用されるほどであった。このため、搭載航空機は装置周辺の鉄材や操舵用鋼線をステンレススチール等の非磁性材料に変更するなどの、大改造が行われた。
(注) U.S. Naval Technical Mission To Japan Electric Targets、E-14 Japanese Magnetic Airborne Detector
-(195 KB)先般、入手大阪管について掲示しましたが、この内の一本は振動陽極の構造が他とは異なっていました。このため、参考として本管の電極構造写真を追加します。
先に掲示した大阪管は振動陽極が2枚(P1・P2)でしたが、本管は3枚構造(P1・P2・P3)で、形状は単純な凹型であり、2枚型と比べ非常に小さなものです。振動陽極の配列はP1、P2、P3でP1とP3は内部で結合されており、出力はP1/P3とP2になります。
また、一次電子反射鏡(B)、反射電極(P”)は振動陽極の形状に合わせ非常に小型になっています。
入手の大阪管については、製造に関わる経緯が全く不明です。このため、振動陽極2枚型、3枚型の動作に於ける性能の差異については判然としませんが、何れにせよ実験目的のためか、同時期に各種が作られたものと推測されます。
写真補足
電極の配置は写真中央右より、一次電子反射鏡(B)、リード線に隠れているが一次電子放射線條(F)、振動陽極(P1)、振動陽極(P2)、振動陽極(P3)、反射電極(P”)。P2はP1、P3の中間に配置されており、P1、P3は結合されている。
-(193 KB)この度、幸運にも特殊電子振動管である大阪管を入手しました。本管については文献等により承知しておりましたが、実物を入手、検分するのは初めてで、誠に感動しました。当該真空管には一切の表記が無く製造に関わる詳細は不明ですが、状況からかなり大量に作成されたものと考えられます。
概 要
大阪管は磁電管(マグネトロン)と同様に磁場を利用した特殊電子振動管で、大阪帝国大学理学部教授の岡部金治郎博士により1935年に開発された。本管は外部同調回路と一体で動作し、発振原理はBK管に相似している。大阪管は分割型マグネトロンのB型振動に比べ能率が悪く出力も劣るが、発振周波数を可変出来、変調も容易等の特徴がある。
帝国海軍はマイクロ波レーダーの局部発振管として本管の利用を研究したが、兵器用としては電圧調整が複雑との理由で、使用を見送った。
岡部金治郎博士
1922年に東北帝国大学電気工学科を卒業し同校の講師となり、1925年に助教授となる。アメリカ人のA. W. Hullが発明した低周波増幅用の単陽極マグネトロンを学生と実験中、磁界と陽極電流の測定値が理論値とずれていることに気づき、これより発振現象を発見した。1927年にマグネトロンの陽極円筒を縦に分割すると効率良く発振(A型振動)が起こり、併せ第二の振動(B型)が発生することを発見し、多分割陽極による高出力マグネトロンの開発に道を開いた。
1935年に東北帝国大学の恩師八木秀次教授が大阪帝国大学(阪大)に理学部を創設すると、要請され、名古屋高等工業学校教授より阪大理学部助教授に就任した。その後教授となり長年にわたり教育と研究に携わり、マイクロ波の分野に多大な功績を残した。
大阪管は阪大に移った後の1935年に考案したが、本管を「大阪管」と命名したのは恩師八木秀次教授であったと伝えられている。
写真補足
左の4本が大阪管、右端が比較用の万能5極管ソラ。左端の一本は残骸、次が完品、その他3本はベースなし、この内一本は空気が入り内部か錆びている。
-(40 KB)掲示は大阪管を使用した発振回路の一例ある。真空管構成電極Bは一次電子反射鏡、Fは一次電子放射線條(陰極)、P1、P2は振動陽極、P”は反射電極(ほぼ零電位)、Hは磁場の方向を示し、Lは同調回路である。
動作概要
回路図のごとく本管の陽極P1、P2には直流正電圧が、反射電極P”にはほぼ零の電圧が加圧されている。陰極Fより出た電子は軸方向に加えられた磁界により陽極間を通過し反射電極に向かうが、その電位が零に近いため追い返され、結果電子の反復運動(振動)が発生し、振動のエネルギーがP1、P2に接続された同調回路より出力される。本回路において、発振周波数は通常振動陽極に接続される同調回路によって定まる。
なお、磁場の付加は磁界により電子流を収束させ、振動陽極に電子が直接取り込まれるのを防ぎ、発振効率を高めるためである。
回路図作成: 山本健殿
-(166 KB)掲示はこの度入手した大阪管の内部である。本管の構造は前掲の発振回路を構成する大阪管に相似しており、構成電極はステム上部に横向きに配列されている。
電極の配置は写真中央右より、一次電子反射鏡(B)、一次電子放射線條(F)、振動陽極(P1)、振動陽極(P2)、反射電極(P”)。P1、P2電極は凹型構造となっており、磁界により収束した運動電子は中央を通過する。
出力リードに接続された振動電極P1、P2はステムより伸びるガラス管を支えに固定されている。
-(184 KB)先日、国内のNet Auctionで本品を見つけ、思わず応札をしてしまいました。確かに当館向きの品物ですが、表の旧軍無線通信資料館よりも、アマチュア無線機材を中心とした裏資料館には更にピッタリかもしれません。
とりあえず、館内のどこかに展示をしてみるつもりです。
-(188 KB)ハムフェアに行ってまいりました。年々参加者が少なくなり将来が危惧されますが、旧知の皆様はお元気で、楽しい時間を過ごさせて頂きました。
ところで、本年はmixiで活動されている「真空管式無線機」の会場ミーティングに参加させて頂きました。何れの方々もこの分野では一家を構える練達の士で、実際にお会いでき、誠に幸いでした。会場では皆様、本日自慢の戦利品を手元に交歓を深め、事務局員も初参加ではありましたが、楽しい一時を過ごさせて頂きました。
金道英雄殿ご寄贈品
上記ミーティングに於いて、業務用受信機の研究家として高名な金道英雄殿より、御著書「日本の業務用受信機」を御寄贈頂きました。ご協力に心より感謝申し上げます。
さて、ハムフェアの楽しみはジャンク品の探索や購入ですが、本年は去年98式空4号隊内無線電話機の管制器を購入した「府中アマチュア無線クラブ」のブースで、海軍型水晶片を2個発見し、これが唯一の収穫となりました。
僭越ですが、ハムフェアの行く末が誠に思いやられます。
皆様も奮ってご参加下さい。
-(177 KB)旧軍無線機材の蒐集家にとり、送受話器や電源接続コード等のアクセサリー類は誠に重要です。しかし、素材にゴムを使用した物が多く劣化が進み、良品の入手は至難で、また、修復も困難です。
当館が所蔵するアクセサリー類も殆どがジャンク状態で、その扱いには苦慮していました。しかし、最近は編纂用の配線図作成にご協力を頂いている山本健氏が修復を併せ引き受けて下さり、誠に大助かりです。
この度は先般の送受話器に引き続き、94式5号・6号無線機の発電機接続用ケーブルの修復が完了しました。これらの修復にあたっては、代用素材の調査・入手に多くの時間を費やし、また製作は当時の方法を学習して行うなどし、その出来栄えは誠に値千金です。
日頃のご協力と併せ、山本健氏のご貢献に心より感謝申し上げます。
各位へのお願い
付属品の修復に関連し、入手が困難な94式3号甲・乙・丙無線機の電源接続ケーブルを製作したいと考えております。しかし、当館はその現物を所蔵せず、コネクターの形状等が不明です。
つきましては、本件に関わる情報・資料をお持の方は、ご協力をぜひ宜しくお願い申し上げます。